駆け抜けろ ars 2 (ページ9)

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電車を降りた相葉と二宮は、敢えて大通りを避けて、住宅街の入り組んだ生活道路を、もうかれこれ１５分程歩いていた。

相葉が大通りを避けたのは、もちろん、コンビニなどの店舗に設置してある防犯カメラが気になったからだ。

彼の後ろを歩く二宮も、それには察しがついていて。

だから、相葉のことが、ますます怪しい、２２３号に違いない、という思いを強くしていた。

「ねぇ、まーくん、まだぁ？」

「…おまえなぁ…。つーか、ここだよ！」

「えっ？ここ？ここが東山の家？」

相葉がさり気なく指さした塀。

そういえばさっきから長々と続いてるなぁとは、二宮も思っていた。

「この塀の内側がそうなの？」

「あぁ…。ほら、あそこ！今車が出てきたところが正面玄関なんじゃねーの？」

「うわぁ…、マジででけぇ屋敷…さすが成金…」

「しーっ。誰がいるか分かんねぇんだから…」

「ふふふふ」

口元に手を当てて、相葉を見上げながら笑う二宮は、悪戯っぽく目をくるんくるんさせている。

それが、どう見ても、大学生くらいにしか見えなくて。

もしかしたら。

もしかしたら、弟かもしれない二宮に対して、やっぱりこれ以上は関わらせない方がいいんじゃないか、と相葉は思うのだった。

「ったく…。あ、そうだ。カズ、お前さ、こっからは俺と離れて歩け」

「え？なんでよ？」

「Ｇ－１ジャケットの俺と、ぱりっとコートを着込んだお前と。なんか釣り合わない二人組だろ？」

「あぁ…、ん、でも…」

「いいから！俺が先に行くから、お前は様子を見ながら、後からついてこい」

「えー…」

「後方の見張りも兼ねてんだよ！」

「…そういうことなら…分かったよ…」

「よし！」

しぶしぶ相葉の提案を受け入れた二宮は、合図をするまで動くな、という言いつけに従って、相葉が塀伝いに、正面へと歩いて行くのを、電柱の陰に隠れて見ていた。

どこから忍び込むんだろう…。

じっと姿を追っていたら、相葉は何食わぬ顔で門の前を通り過ぎ、その少し先ですっと体が消えてしまった。

角を曲がったのだ。

二宮は慌てて早足で、彼を追いかけた。

角まできて、そっと頭半分だけ出して様子をうかがうと、５０ｍ程先の辺りで、相葉は何やら見知らぬ女性と話をしている。

誰だ…？

つーか、いいのかよ？

二宮は胸をざわつかせながら、その様子を観察した。

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