駆け抜けろ ars 2 (ページ5)

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昔も今も 2 ページ5

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櫻井にさりげなく訊かれて、松本も平静を装って答えた。

「…どこに、って。トイレって言いませんでしたっけ？」

「へぇ～、トイレね。…ところで、お前の相棒くんはどこへ行ったんだ？」

探るような目で見られて、松本は思わず視線を逸らした。

「…あいつは、…もう帰りました」

「あー？帰っちゃったのか？仕事放り出して？」

まさか、といったふうに大袈裟に聞き返されて。

いったいこの人の目的は何なんだろうと、松本は訝しげな顔をした。

「……先輩、何が聞きたいんですか？」

松本の質問に、櫻井は目だけで辺りの様子をうかがった。

それから、小さな声で訊いた。

「……２２３を、見つけたのか？」

「えっ？」

２２３？

「やっぱりな」

「もう、やだなぁ、違いますよ」

「ちょっとさ。スマホ見せてみろよ」

「…やですよ。何のために？」

急に押し問答みたいになって、松本は焦った。

「俺、刑事なんだけど」

「だからって、先輩にスマホを見せる義務はないです」

「あー、そう…。じゃあ、自分で確認してみろよ」

「何をですか？」

「潤の大事な相棒くんの居場所だよ」

「………」

「ほら！いいから！」

櫻井のしつこさに負けて、松本はしぶしぶスマホを開いた。

位置情報を出し、カズ――二宮の位置を探す…。

だけど、画面には、二宮の位置が表示されない。

なんで？

え？

ちょっと待って。

縮尺を変えて、関東全域にしても、どこにも二宮はいない。

おろおろとスマホをいじる松本の手元を、櫻井が覗き込む。

「２２３に捕まったか。それとも何らかの事情で、スマホの電源が切れているか…」

「先輩！覗かないでくださいよ」

「あぁ、悪い。ま、そんなことだろうと思ったんだよ」

「カズ…」

「かず、くん、って言うのか？……２２３はコロシはしないから。そこは心配するな」

「コロシは、って、でも…」

「よし！じゃあ、俺は会場に戻るわ」

「えっ？先輩！２２３を追いかけないんですか？」

「うん？ふふふ。追いかけるさ」

櫻井は席を立つと、松本の肩を叩いた。

「あ、翔くん！」

行こうとする櫻井を、松本は慌てて呼び止めた。

「ん？」

「助けてくれないんですか？」

「…お前、探偵なんだろ？」

翔くん、と漸く呼ばれて、櫻井は気を良くしたのか、少し口角を上げたけれど。

松本が期待した返事の方は、冷たいものだった。

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