昔も今も 1 （11/18） ページ4
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二宮が相葉と共に東山家へ向かっている頃。
相棒の松本は、インペリアルホテルで足止めを食っていた。
早く、カズを追いかけなければいけないのに。
松本は今それができない状況にあった。
大学時代の先輩である櫻井に、捕まってしまったのだ。
「潤。お前も、あの秘宝の警備に雇われたのか？」
人払いをした櫻井は、松本を連れて、一階のロビーに来ていた。
ロビーは吹き抜けになっていて、そのはす向かいの三階部分に、
バルコニーのように張り出した一角があり。
そこは、婚約パーティーが行われている大宴会場前の、ホールになっている。
櫻井は話をしながらも、時折そちらを、ちらりちらりと見やった。
「え？俺が秘宝の警備ですか？いやいや、まさか。俺は、招待を受けただけで…」
コーヒーを口に含み、松本は櫻井の端正な顔をじっと見つめた。
大学時代より、少し精悍になった感じがする。
毎日毎日、金魚のふんのようにこの人の後をついて回っていたっけ。
遠い昔のことのように思えるのに、
目を瞑れば、つい昨日のことのように、あの頃がまぶたに浮かぶ。
「…ふうん。俺はまた、てっきり探偵として来てるんだと思ってたよ？」
若くて小柄な青年と一緒だったよな、と付け加えると、櫻井はにやりと笑った。
「あの青年は、お前の探偵社で働いてるんだろ？」
なんだ。
全部お見通しなんじゃないか。
久しぶりに再会したというのに、櫻井が己の事情をしっかりと把握していて、
松本はほんの少し驚いたけれど。
櫻井という人間はそういうぬかりのない人物だった、と思い返した。
「櫻井先輩は俺のこと、なんでも知ってるんすね」
「ふふふ。まさか俺がいるなんて、思ってもみなかっただろ？」
「そうですね。先輩には敵いませんよ、昔も今も」
「…先輩ね。…もう、あの頃みたいに、翔くんて、呼んでくんねーの？」
「え？あ、それは…、」
瞳を丸くして櫻井を見れば、
目を細め、愛しそうに自分を見る、あの頃と同じ視線にぶつかった。
「…先輩。俺だっていい大人なんですから」
「ハハハハ、大人かぁ…。そうだな。潤はもう大人だもんな」
快活な笑い声は、昔とちっとも変らないな、と松本は思った。
「先輩？仕事、いいんですか？お宝を警備しなくても」
「うん？ん〜、まぁな。それよりさ、潤はどこに行こうとしてたんだよ」
かちゃかちゃとコーヒーを回し、櫻井は徐にそれをすすった。
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作者名：もここ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/mokoko_pl_f/
作成日時：2014年11月6日 14時
