駆け抜けろ ars 2 (ページ11)

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運命共同体 1 （9/10）ページ11

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失敬していたスマホを女性のポケットに戻すと、相葉は、そのスリムな体躯に似つかわしくない力で、軽々と彼女を抱え上げた。

そうして、きょろきょろと周りを気にしながら歩きだした。

「どこに行くの？」

「すぐ先に、外用の物置があるみたいなんだ。けっこうデカイ」

大野からもらったこの家の見取り図と、マップで簡単に見ることができる外観。

そこから、出入口と建物の配置を頭に入れておいた相葉は、迷わずに目当ての物置へと足を進める。

その後ろを、二宮はおっかなびっくりついていった。

「ここだな…」

建物のすぐ脇に、その物置らしきものはあった。

かちゃかちゃとポケットから、数本の鍵の束を取り出すと、相葉は容易くその扉を開け、その中にそっと女性を下ろし、静かに扉を閉めた。

相葉が使った物置の鍵は、女性が持っていたものだ。

思った以上に労せず仕事が進んでいることに、彼は安堵していた。

ここに侵入すると決めてから、屋敷内で働く使用人のデータを、追加で大野に送ってもらったのだが。

偶然、大野がチェックを入れていた―――すなわち、屋敷の鍵を預かっている人物に、裏口でひょっこり遭遇できたのも、何かの導きがあるのかもしれない、と。

相葉は無意識に、このミッションを正当化しようとしていた。

上手くいっている以上は、作戦は遂行するのみだ。

密かに自分に言い聞かせる。

そうして、辺りを確認するように見回すと、建物に沿って移動を開始した。

「まーくん、どこ行くのよ」

そんな彼を、とことこと二宮が追いかける。

「ギャラリーはこっちなんだ」

「…なんでも知ってるんだね」

「じゃなきゃ、忍び込めないだろ？」

「………」

ぴたりと歩みを止めると、相葉は二宮に向き直った。

「カズ。この辺で、帰るか？今ならまだ、共犯にはならない」

「えっ？」

二宮が驚いて見上げると、真剣な瞳が自分を見下ろしている。

足手まといに思われてるのは分かっていたけれど、ここまで来て、帰れはないんじゃない？と、内心困惑しつつ。

相葉の言葉に、なんと答えるのが的確なんだろうか、と二宮は考えを巡らせた。

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