見せかけの仲間 （2014/11/7更新） ページ1
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相葉にスマホを取り上げられ、落胆しているかと思いきや、意外と二宮はあっけらかんとしている。
「よし！じゃあ、行こっか？カズ」
相葉が声を掛けると、
「行きましょう、まーくん」
その琥珀の瞳を人懐こそうに細めた。
「……そのさぁ、まーくん、ていうのは、なんか調子狂うなぁ…」
「いいからいいから」
にやにやと笑う二宮の顔を一瞥し、相葉は小さくため息をついた。
自分より小柄で、相当年下と思われる、この子犬みたいな男は、思ったより頭が切れるようで、面白半分に仲間にしてしまったけれど、この選択が吉と出るか凶と出るか、相葉にはまだ予想がつかない。
ともすれば命取りな二宮の提案を受け入れた真の理由は、ただ、その正体を知りたいと思ったからで。
なぜ二宮には自分の心の声が聞こえるのか、相葉はその理由を突きとめたかったのだ。
「これから私鉄に乗り換えるから。ついてきて、カズ」
「オッケー」
歩きだした相葉の後ろを、二宮は急ぎ足でついていった。
人混みを縫うようにどんどん進んでいく相葉は、足が長いせいもあって歩くのが速い。
うっかりすると、見失いそうになる。
「まーくん、待ってよ」
二宮は思わず相葉のジャケットの裾を掴んだ。
「うん？」
相葉が振り返り、掴まれた裾を見る。
二宮はぱっと手を離した。
「フフフ。いいよ、カズ、そこ持ってても」
「ごめん。大丈夫。歩くの速いよ、まーくん」
「フフフ」
大丈夫と言ったものの、また歩きだした相葉の服を、二宮はそっとつまんだ。
スマホは奪われてしまったけれど、奇跡的に相葉の追及を切り抜けられて、こうして仲間になって、実のところ踊りだしたいくらい二宮は得意な気分だった。
やっぱ、俺ってすごくない？探偵向いてるぜ。
そう心の中で自画自賛して、ちょっと悦に入る。
取りあえずは相葉の言う通りに動いて、機を見て反撃に出るなり、逃げ出すなりすればいいと、二宮は楽観的に考えていた。
この優男は、ときにとても冷たいまなざしをするけれど、根は悪人とは思えない。
お人よしのところがありそうだし、人を簡単に信じやすいような気がする。
本当に２２３号なら―――二宮はそう思っているのだが―――それって、泥棒として致命的っていうか、欠点なんじゃー…って。
自分の仕事を忘れて、なんだか心配にもなってくる。
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作者名：もここ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/mokoko_pl_f/
作成日時：2014年11月6日 14時
