19 ページ19
これは、昔話。
皆、知っている様で知らない。忘れられた物語。
誰かが言った。
「「あの少女達は、命懸けで【化け物】を退治してくれる」」
「「嗚呼、なんて勇敢なのだろう」」
少女たちの中に唯一、
人間は彼女を役立たずと罵倒し忌み嫌ったが、それでも少女は諦めず、化け物の退治に参加出来ない代わりに、影から少女達の戦闘を見て戦術を学んでいた。
いつか自分も皆の役に立てる日を夢見て。
だが、現実は残酷だった。
ある日、いつものように少女が戦闘の様子を覗いていると、こちら側の戦況が劣勢だということに気がつく。
だが少女は仲間が危険でも、指を咥えて見るしか出来ない。足手纏いになるのは分かりきっていたからだ。
『…っ、』
どろり。
『…？』
戦いに敗れ、息絶えてしまった1人の少女から、なにか【ドス黒くてドロドロとした物体】が流れ出す。
『なに、これ』
それは徐々に分裂し、形を作り、化け物へと姿を変えていった。
少女はそれを倒すことに成功し、自分も人間や___達の役に立つ事が出来るのでは、と奮い立って、一人で周りの全ての【化け物】を倒した。
それと同時に嫌な違和感を覚える。
『…、みんな、？』
あまりにも静か過ぎるのだ。
まるで、みんな生きていないみたいに。
『…ねぇ、なんで息してないの、？』
その時、先程倒した【化け物】から、仲間の付けていた【装飾品】が落ちたのが見えた。
その様子を見て、少女は最悪の想定が現実になってしまった事に気が付き、顔色を真っ青に染める。
『は、』
あの化け物は、彼女達の慣れ果てた姿だった。
彼女がその意味に気付いた時には、もう全てが遅くて。
少女の悲痛な叫びはもう誰にも届くことはない。
『私が、みんなを殺したんだ』
なぜ、役立たずの少女だけが最期まで生き残ったのか。
なぜ、【彼女達の慣れ果てた姿】だけは、倒す事が出来たのか。
なぜなら、役立たずな少女に与えられた役割は、【彼女達の成れ果てた姿を
それを知った少女は酷く後悔し、誰よりも大きな憎しみや悲しみといった
『…私なんて、存在もろとも消えちゃえばいいのに』
彼女がそう呟いた事で、彼女のステッキからは眩しい光が漏れ出し、辺りの【穢物】達も、彼女の存在も、同時に跡形もなく消え去っていった。
_______
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 502人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
期待瀬名(プロフ) - ツナ缶さん» ！？文字化け気付いてくださった方がいらっしゃる…！！ひぇん嬉しいです〜！！ありがとうございます！ (10月1日 0時) (
レス) id: 65371bf8e6 (このIDを非表示/違反報告)
期待瀬名(プロフ) - おにぎりさん» 何度も噛み締めて読みました……ありがとうございます…！そう褒めて頂けると頑張った甲斐があります！！読んでくださった上に感想まで頂けて嬉し過ぎましたありがとうございます、！ (10月1日 0時) (レス) id: 65371bf8e6 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶 - 文字化けを治すことができると聞いて試しにやってみたらすっごい鳥肌立ちました！ありがとうございます！ (9月29日 14時) (レス) @page2 id: 494df42b33 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり - コメント失礼します。こんなにも素敵な作品に巡り合わせてくれた貴方様に感謝を。ありがとうございます。とても面白かったです。続き、楽しみにしています (8月16日 8時) (レス) @page15 id: c6065bae9a (このIDを非表示/違反報告)
期待瀬名(プロフ) - まるさん» 頑張って綴ったのでめちゃくちゃ嬉しくて泣いちゃいました…！！ありがとうございます！頑張ります！！！ (6月24日 23時) (レス) id: 65371bf8e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：気体瀬名 | 作成日時：2023年2月3日 1時
