beLoved (ページ7)

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遠距離 S.Keigo ページ7

ｰYou side-

家に着くと崩れるようにベッドに倒れ込む

着替えやメイクを落とす気力もなくて、そのまま毛布に顔を埋めた

携帯のバイブが鳴り見てみれば景瑚からのメッセージが5通

景湖おはよう
起きた?
何やってるの?
ちゃんとご飯食べるんだよ
大丈夫?

朝から放置されたメッセージを見ると余計に恋しくなってまたスマホを閉じた

もう無理かもしれないと思ってから何日が経っただろう

止まらない時の流れに逆らうことはできず、毎日朝になれば会社に出勤する

残業に残業を重ねて乱れた生活習慣は身体だけでなく心まで侵食していた

ﾌﾞｰﾌﾞｰ

今度は長いバイブ音

画面を見れば"景瑚"の文字が写った

『もしもし』

「もしもし？A？」

『...』

「大丈夫？ずっと返信ないから心配したんだけど」

『...』

「A？」

彼の焦った声が耳に届く

私の涙腺を緩ませるにはこれだけで十分だった

「泣いてるの？」

『ううん』

「嘘、何があったの？」

『何も無い』

「何も無いのに泣かないでしょ」

『大丈夫』

景瑚らしい優しい声や言葉は今の私には毒だ

気を抜けば口にしてしまいそうで、喉まで出かかった言葉をもう一度飲み込む

「じゃあなんで泣いてるの？」

『...』

「A？」

『...景瑚』

「なに？」

『会いたい』

「わかった」

二つ返事でそう答えると"ちょっと待っててね"と言って通話が切られた

最後に零れた自分の本音に嫌気がさしてまた布団に突っ伏す

疲れもあったせいか気がつけば夢の中にいた

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