beLoved (ページ6)

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『祥生』

「嫌や」

『わがまま言わないの』

「だって今日のAめっちゃ可愛ええもん。見られたない」

『そんな可愛いこと言ってもダメ』

「可愛いのはAやって」

『とにかくなるべく早く帰ってくるから離して』

「嫌や」

嫌々と子供のようにごねる彼

時計を見ればもうそろそろ出ないと遅刻してしまう時間だった

『何がそんなに嫌なの？』

「男いるやろ」

『いるけど私には祥生がいるでしょ』

「...元カレとかに言い寄られたらどうするん」

肩に顔を埋めて小さく呟く

どうやらずっとそのことを気にしていたらしい

『心配しなくても大丈夫だよ』

「なんでそんな言い切れるん」

『だって私、高校の時からずっと祥生のこと好きだったんだよ』

「え？」

『友達もみんな知ってるしクラスじゃ結構有名だったかも』

目をぱちくりさせて固まる彼

『だから安心して、というか祥生と付き合ったことちゃんと報告しなきゃ』

「...なんやそれ、知らんかったん俺だけ？」

『そうだよ』

"ほら、遅刻しちゃうから離して"と言うともう一度強く抱き締められてからスっと腕が解けた

『じゃあ行ってくるね』

「なんか複雑やわ」

『何それw』

「終わったら迎えいく」

『ありがと』

"いってきます"と言ってドアノブをひねろうとすると名前を呼ばれて腕を引かれる

祥生の方を振り向けば小さくリップ音を鳴らして甘いキスが降ってきた

「飲みすぎんようにな」

"いってらっしゃい"と言って手を振られる

私の彼氏は世界一可愛い

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