beLoved (ページ4)

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「Aには俺がそう見えとるん？」

『そうだよ、蓮の隣にいると苦しいの』

「そっか...ごめん、気づけんくて」

すっかり冷えきった室内には私たちの間に出来た距離のように冷たい風が通り抜ける

何も返せなかった

だって謝って欲しい訳では無いから

ただ自分が開放されたいがためにエゴを唱えているのだ

「でも俺は、Aが好きだよ。それはこれまでも、勿論これからも変わらない」

少し空いた私達の距離を縮めるかのように蓮の手が1本1本ゆっくりと私の指を絡める

真っ直ぐ過ぎる言葉に心臓が煩い

「Aの料理じゃなきゃ食べれん物もいっぱいあるし、パフォーマンスも収録もAにカッコイイとこ見せたいけん頑張れる」

"俺が輝けれるのはAがいるからなんよ"

眉を下げて悲しそうに言う彼

そんな表情も綺麗だと感じてしまうほど私は彼に溺れていた

溺れ過ぎていたのかもしれない

本当は自分ばかりが彼を好きな気がして、いつ来るかも分からない別れを勝手に恐れていた

テレビで蓮の隣に映る女性はみんな綺麗で、私よりも遥かにお似合いだった

だからしんどかった

眩しくて目を背けていた

「泣かんといてよ」

気づけば頬には大粒の涙が零れていて、焦った様子で彼がそれを拭ってくれる

『ごめん』

「それは俺のセリフやけん」

"不安にさせてごめん"と言って私を抱きしめる

いつもよりも強い力にたじろぐが離すまいとより一層強く引き寄せられて、心臓の鼓動が聞こえてしまいそうだった

「これからもずっと、俺の隣で笑っとってくれん？」

言葉の代わりに彼の背中へ腕を回した

私も、ステージとは違う貴方の笑顔をずっと隣で見ていたい

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