beLoved (ページ13)

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クリスマス S.Ruki ページ13

ｰYou side-

『お疲れ様です』

「お疲れ～」

"ほんとに助かった！ありがとう！"と言って売れ残ったケーキの入った箱を受け取る

ケーキ屋にとってクリスマスは一大イベントだ

世間は聖夜だの騒ぎ立て、カップルが恥じることなくそこらでイチャイチャしている

それはスタッフも例外ではなく、かきいれ時にも関わらず人が集まらない

独り身の私は予定より2時間も延長する羽目になった

ロッカーで着替えを終え、伸びをすると関節が音を立てる

大学2年の冬にもなってクリぼっちなんて笑えてくる

腹が立つほど甘い雰囲気を放つお客さんが多い中よく頑張ったと自分を褒め讃えたい

帰ったらケーキでも食べよう

1人寂しく

貰った箱の中身を覗くと予定がないから出勤しているというのに律儀にケーキは2つ並んでいた

好意で入れてくれたのだろうがもう少し配慮してもらいたい

裏口から外へ出るとあまりの寒さに身震いがした

ホッと一息着けば白い息が煙のように出る

これは雪が降りそうだ

早足で表の通りまで出ると見覚えのある影がお店の壁にもたれかかっていた

「あ、やっと来た」

寒そうに身を縮めて口元までマフラーをする彼

相当待っていたのか鼻や耳は真っ赤だった

『え、どうしたの？』

私が忘れているだけかと思い記憶を辿るが、絶対に彼と会う約束なんてしていない

「サンタさんがプレゼント持ってきたよ」

私の疑問を他所にそう言ってポケットからカイロと一緒にココアを出す

寒い中またしてしまったことが申し訳なくて受け取るのを渋っていると缶が頬に当てられた

じんわりと暖かさが伝わってくるそれを渋々受け取る

『会う約束してないよね？』

「してないな」

『...なんで待ってたの？』

「近くに小さいけどイルミやってるとこあるって聞いたから一緒に行こうと思って」

"行こ？"と小首を傾げてこちらを見る彼

月明かりに照らされる彼は息を呑むほど綺麗で黙って首を縦に降った

『よく今日バイトだってわかったね』

「ぼっちのやつは大体バイトだろ」

『悲しいこと言わないでよ』

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