初恋は白王子 Ⅲ (ページ33)

今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:94,980 hit

・ページ33

.

木全)「じゃあうちのメンバーだったら誰がいいですか？」

『そんなこと言ったって豆原くんとか金城くんはほとんど話したことないし』

木全)「何となくでいいですよ」

『えー』

木全)「あ、僕？」

『それはない』

木全)「わかってるから即答しないでよ」

『佐藤くんもないかな』

木全)「なんで!?」

『仕事一緒の時終わった後ドッと疲れがくる』

木全)「まあ距離感が近いですからね...祥生は？」

『愛でたい』

木全)「うわっ」

『自分で振って引かないでくんね？』

木全)「汐恩は？」

『汐恩くん？...まあ汐恩くんが彼氏だったら楽しそうだねw』

木全)「絶対楽しいと思いますよ」

『でも弟って感じかな、たまに兄っぽいけど』

木全)「良い奴なんですけどね」

『汐恩くんと言えば、最近なんか変じゃない？』

木全)「あー、そうですね」

『なんか考え混んでるって言うか』

木全)「珍しいですよね」

￣￣￣￣￣￣
￣￣￣￣
￣￣￣
￣

『恐るべし木全くんの胃袋』

木全)「ご馳走様でした！」

お会計を済ませて外へ出ればすっかり辺りは暗くなり、街灯が煌々と灯っていた

2人分にしては高い支払いに苦笑いを浮かべ、それをたいらげた張本人を見れば満足そうにお腹を摩る

その細い体のどこに入ったんだか

軽く会話を交わして帰路に着くと心地の良い風が頬を掠めた

1人で歩いていれば思い出すのは恋愛の話ばかり

この年齢にもなってまともな恋愛をしてこなかったことが恥ずかしい

けれど好きなことを好きなだけできている今が1番楽しいとも思ってしまう

仕事と恋愛を天秤にかけるとすれば大差で仕事が勝つだろう

そもそも恋愛に向いていないのだ

そう思えば今の独り身がしょうに合っているのかもしれない

.