初恋は白王子 Ⅲ (ページ26)

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37.遅刻ページ26

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寒い朝に久しい温もりを感じる

目を覚まして最初に目に入ったのは瑠姫くんの顔で、すぐに目が冴えて飛び起きた

『え、瑠姫くん!?』

声を上げてもピクリとすら動かない彼

ゲームをやっている途中に寝落ちしてしまったようだ

そして今日は普通に仕事

急いでスマホの時計を確認すれば時刻は9:30を指していた

本来であれば1度家に帰って着替えるため8:30には出る予定だった

つまり完全に遅刻である

『瑠姫くん起きて！やばい！』

白岩)「もうちょっと」

『やばいんだってば！遅刻！』

何とか瑠姫くんの腕をくぐり抜けて洗面所へ向かう

運の悪いことに今日は私服の撮影だった

遅刻すると謝って家まで1度帰るかアリサさんにお願いして家から服を持ってきてもらうか

そんなことを考えて顔を洗い、手探りでタオルを探す

見つからず手を彷徨わせていると柔軟剤のいい香りがするタオルが顔に押し付けられた

白岩)「場所どこ」

『事務所』

白岩)「急げば15分くらいで着くから大丈夫だよ」

『服乾いてない』

白岩)「あー、今から乾燥かけても無理だな」

『最悪なことに私服の撮影ある』

白岩)「...ドライヤーで頑張る？」

『そっちの方が無理ある』

頭を抱えながらも化粧水やアイロンなどポンポンと出てくる

『めっちゃ持ってるじゃん』

「アイドルなんでね」

軽く化粧を済ませてもう一度洋服問題と向き合うがどう足掻いても無理だ

アリサさんに頼んだとしても今からでは遅刻確定

『あ』

白岩)「なんか思いついた？」

『洋服貸して』

白岩)「...無理くね？」

『やってみなきゃわかんないでしょ』

"見てから考える"と自分でも訳の分からないことを言いつつクローゼットの中を見せてもらう

『モノクロだ』

白岩)「Aのクローゼットも変わんないだろ」

『瑠姫くんよりはまし』

白岩)「サイズ的に厳しくない？」

『んー...いや、いける』

あっち行ってと言うように手で払うと"それが恩人に対する態度かー？"と頭をかきながらその場を離れる

手に取ったニットを着てみれば案の定大きくてニットワンピとして着れそうだった

ロングスカートがあれば完璧だったのだが、代わりにコンビニでストッキングを買っていくことにしよう

...コンビニに寄る時間はあるのだろうか

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