初恋は白王子 Ⅲ (ページ10)

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『ありがとう、送ってくれて』

白岩)「いーえ」

『あ、そうだ。ちょっと待ってて』

そう言って急いで部屋に走っていく彼女

数分するとすぐ車内に戻ってきた

『はい、これ...随分遅れちゃったけど』

"誕生日プレゼント"と言って渡されたのは黒い紙袋

中を開けるとマフラーが入っていた

白岩)「うわ！ありがと！」

『結構悩んだんだからね』

白岩)「めちゃくちゃ嬉しい」

『よかったです』

白岩)「Aが巻いてよ」

『なんでw』

白岩)「記念！お願い！」

姿勢を低くすれば呆れたように笑いながら運転席側に身を乗り出してマフラーを巻いてくれる

自分のために偉んでくれたと思うだけで嬉しくて、巻き終えて離れようとする彼女を思わず抱きしめた

"何してんの"と言って押し返そうとしてくるがそれに反して抱きしめる力を強くすれば観念したのか押し返すのを辞める

『セクハラです』

白岩)「送料貰ってるだけ」

『そんなのかかるの知らなかったんだけど』

白岩)「今初めて言ったもん」

オチのない話をそのままつらつらと並べるが、そのうち彼女から"どうしたの？"と心配したように聞かれる

白岩)「愛が溢れた」

『何それ』

白岩)「そのまんまの意味」

『病院で見てもらいな』

素直に答えてもこの始末

所詮彼女にとって俺は仲の良い男友達

もはや男とも思われていないのかもしれない

"いい加減離れてよ"と言われ腕を解けばすぐに身体は離れる

きっと名残惜しいと感じているのも俺だけだ

『いいじゃん』

白岩)「めっちゃ暖かい」

『似合ってる』

白岩)「ありがとう」

"まあ、なんでも似合っちゃうんだわ"と言えば"やっぱ海鮮系にするべきだったか"と笑われる

俺がどれだけ想っていたとしても、これ以上彼女には近づけない

そう思うとやるせない気持ちになった

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