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ある日曜日。誕生日を迎えた禿の鈴に何か欲しいものはないか聞けば甘味が食べたいと言った。
久しく二人で出掛けてないため甘味処に行くことになり城下町に出る。
禿の仕事は主に太夫である私の身の回りの世話をする事だ。
確証ではないがいずれは禿である鈴が太夫になる。他の新造が認められればその子がなることもある。
私も禿ではなく普通の振袖新造として遊郭に入ったが、売り飛ばされたことに腹が立っていて下克上まがいな事をしてここまで成り上がった。
そう言うこともあるから一概に禿だからと言って将来が約束されたわけではない。
私としてはもちろん可愛がってる鈴が太夫になってくれることが本望なのだけど。
「A姉さん見てください！この
『本当だ。椿だね』
先端に二輪の椿がついていて、小さなとんぼ玉が揺れるその簪を見てトントンさんの顔が思い浮かんだ。
会いたいな…。
ここのところ全く会えていなかったので感傷に浸ってしまう。
いけない、と鈴に目を向けると怪訝な目で眉を潜め一点を見つめていた。
どうしたのか声をかけて彼女の見る方を目で追うとそこには今まさに会いたいと思った彼、トントンさんが目を丸くして立ち尽くしていた。
『トントンさ…』
駆け寄ろうとすると彼は何故だか踵を返して早歩きでその場を去っていく。
呆気にとられて立ち尽くしてしまったが我に返り鈴そっちのけで駆け出す。
後ろから鈴の私を呼ぶ声が聞こえるけどお構いなしに走る。
「A姉さん！」
『え？！早？！』
全力で走っていたはずの私に追いつき着物の袖を掴んだ鈴。その反動で私は後ろによろめく。
「今の方、A姉さんの恋人ですよね？A姉さんの足じゃ到底追いつきません！私が行きます！」
『お、お願いします…』
運動神経のない私を見かねて啖呵を切る鈴の圧に負け首を縦に振る。
息が上がり切った私に代わりまだまだ若い鈴が駆け出した。
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miu(プロフ) - 有馬さん» 返信ありがとうございます。悠亜さんですね、読みに行かさせていただきます...！！ (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4e1434e32c (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - miuさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！ｲﾗｽﾄは悠亜さんに書いていただきました。素敵な作品を書いてらっしゃいますのでもし読んでないならば是非読んでみてくださいね！ (2020年6月1日 16時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
miu(プロフ) - 何から何まで好きすぎるし、イラストのtnさんかっこよすぎるし最高じゃないですか..これからも頑張ってください！！. (2020年6月1日 16時) (レス) id: 4e1434e32c (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 未来さん» コメントありがとうございます。完結に向けて頑張りますので最後までお付き合いよろしくお願いします！！ (2020年6月1日 1時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 青さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです、励みになります；；本当にありがとうございます！！ (2020年6月1日 1時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
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