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花魁道中もなく、自分個人の指名もない日は
「はぁ〜もうこんなとこやだ。早く出たい」
「Aそれ週に一回は言ってるよ」
「言わないだけで毎日思ってるよ」
「はいはい」
静かに茶筅を上げ、抹茶々碗をいずみの前に差し出す。
綺麗な所作で茶碗を左手に乗せるいずみを一瞥してから私も茶碗を手に取る。
太夫に登り詰めても、お客を見下せても、買われれば身を捧げる毎日の繰り返し。
そんな日常に嫌気がささないわけもなく、夢見るのは遊郭の外での生活。
脱走を試みたところで体に埋め込まれているマイクロチップは嘘をつかないわけで。
茶碗に添えた自分の右手に視線を送るともう痛みなんてないのにチクリと痛むような気がした。
「お点前頂戴致します」
綺麗に三口半で飲み干したいずみは飲み口を拭きそれを置いた。
「…あーあ。誰か素敵な人が私を迎えに来ないかなぁ…」
「まーたうわごと言って…」
私の言葉に大きなため息をついたいずみは言った。毎回のやりとりだ。
呆れ顔で茶碗を片付けるいずみを見て私は正座していた足を投げ出す。
お行儀悪いよ、と眉をしかめる彼女は美人だ。
「もし本当に私がいなくなったら遊郭をよろしくね」
「…九条太夫様がなにを言ってるんだか」
冗談でそう言えばとてもバツの悪そうな顔をする。
困った友達を持ったよ、とまたため息をついた彼女は当主に呼ばれ部屋を出て行った。
遣手の彼女はこの遊郭全体の管理や教育だけでなく当主や遊女の仲介もこなす。
遣手の人数は一人じゃないにしてもやる事が沢山あって忙しい。
それでもいつも私のうわごとに付き合ってくれるいい友人である。
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miu(プロフ) - 有馬さん» 返信ありがとうございます。悠亜さんですね、読みに行かさせていただきます...！！ (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4e1434e32c (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - miuさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！ｲﾗｽﾄは悠亜さんに書いていただきました。素敵な作品を書いてらっしゃいますのでもし読んでないならば是非読んでみてくださいね！ (2020年6月1日 16時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
miu(プロフ) - 何から何まで好きすぎるし、イラストのtnさんかっこよすぎるし最高じゃないですか..これからも頑張ってください！！. (2020年6月1日 16時) (レス) id: 4e1434e32c (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 未来さん» コメントありがとうございます。完結に向けて頑張りますので最後までお付き合いよろしくお願いします！！ (2020年6月1日 1時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 青さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです、励みになります；；本当にありがとうございます！！ (2020年6月1日 1時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
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