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トントンside
総統室にて昨日の遊郭についてまとめた報告書を読み上げ終えて手に持っていた書類を整えグルッペンの前に出す。
グルッペンはそれを受け取るとパラパラとめくりながら目を通す。
「…なんか上の空やな」
「…は？」
完全に見透かされていることにぎくりとする。
顔に出ていたのかそんな俺を見てくすりとグルッペンは笑った。
「珍しいな、お前がそんなわかりやすいなんて。女でもできたか？」
「出来てへんわ」
「なんや、ちゃうんか」
「わかっとるくせに」
心底楽しそうに笑うグルッペンに怪訝な目を向けると、奴の理性的な有無を言わさぬ様な瞳が俺を捉えた。
「…遊女はやめておけ。あいつらはその道のプロや。男なんて駒のようにしか思っとらん、所詮金の為の言動や」
「Aさんはそんなんとちゃうよ」
「どうしてそう言い切れる？」
どうして、そう聞かれてもきっぱりと理由が言えるような事柄はない。
彼女は俺にただの町娘だと言った。嘘をつかれていたんだ。
なんで彼女が身分を偽り俺に接触していたのかはわからない。
いつも身に纏っている綺麗な着物に、丁寧かつ綺麗な所作。
ただの町娘ではこんな大層な着物は着れんし、所作もある程度の常識しか習わんことは分かりきっている。
俺はそれを怪しんでいたはずだ…。
それでもその事柄からわざと目を逸らしていたのは純粋に好意を向けてくれているんだと言うことは痛いほどわかったし、少なからず俺もそれに応えたいと思ってしまったからだ。
俺も身分を偽り彼女と接していて、昨日の偵察で知らずとは言え彼女を指名してしまえば��ただの商人��と言うことでは通用しないだろう。きっと彼女も怪しんでいる。
それでも忘れられない。もう引き返せない所まで来てしまっている。
黙りこくる俺を見てグルッペンは、はぁ、とわざとらしいため息をついた。
「…今は遊郭廃止の為の業務が立て込んでいるんだ。色恋沙汰にのぼせ上がるなよ」
「わかっとるよ」
そう返事はしたが今は彼女と話をしなければいけない、そんな気がしてならなかった。
お互いに身分を偽った状態で、会うはずもない場所で会ってしまったのはきっと何かの暗示なんじゃないかと思ってしまう。
彼女の話を聞いて、俺の話をしなければならない。漠然とそう思った。
俺は総統室を出たそのままの足で俺はいつもの待ち合わせ場所に向かったが彼女と会えることはなかった。
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miu(プロフ) - 有馬さん» 返信ありがとうございます。悠亜さんですね、読みに行かさせていただきます...！！ (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4e1434e32c (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - miuさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！ｲﾗｽﾄは悠亜さんに書いていただきました。素敵な作品を書いてらっしゃいますのでもし読んでないならば是非読んでみてくださいね！ (2020年6月1日 16時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
miu(プロフ) - 何から何まで好きすぎるし、イラストのtnさんかっこよすぎるし最高じゃないですか..これからも頑張ってください！！. (2020年6月1日 16時) (レス) id: 4e1434e32c (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 未来さん» コメントありがとうございます。完結に向けて頑張りますので最後までお付き合いよろしくお願いします！！ (2020年6月1日 1時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 青さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです、励みになります；；本当にありがとうございます！！ (2020年6月1日 1時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
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