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あれから二週間程、仕事もそこまでの忙しさではなく、なかなかスムーズに休みが取れた。どこに行くかという話は特にしていない、大体いつも適当に用事を済ませに出掛けて、うちか近くの店で食事して、あまりそれと変わらないような気もするけど
インターホンが鳴る、流石時間ぴったりだ。今、出ると応えカバンを持ってドアを開けた。
「準備終わってたのか」
「時間指定されてるんだから当たり前です」
「貸せ」
「いいよ。何？急にカッコつけるねえ、いつも荷物なんか持ってくれないくせに」
「だって、お前怪獣だから必要ねえだろ」
「絶対その怪獣呼び、松田発信…」
「A」
「はいはい怪獣でーす」
「似合ってる」
「は…い…？」
「珍しくちゃんと化粧してんのな、ピアスも」
「いつもだってしてるんだけど！？」
何が可笑しいんだか笑ってる松田。サラっと言ったな、似合ってないでしょうよ、お世辞？らしくないな
「別にお世辞じゃねえよ」
「！？」
「全部口に出てる。お前、よくそれで出来んなあ、公安」
「よっけーなお世話だよ！」
「ってえ！」
サングラスを掛けていない松田、笑うと目尻にシワが寄るのは昔と変わらない。トレードマークのサングラスを掛けていないのは、まあ私がぶっ壊したからなんだけど。
「どこ行きたい？」
「お腹空いた」
「はあ！？朝飯食ったんじゃねえのかよ！」
「食べたよ！食べたけど！時間かかったんだよ！慣れてないから！着るの！」
それを聞き、大笑いし始めた顔に本気で拳を握りかけた時、あー腹いてえ、と言いながら頭を撫でる松田の大きな手。
「そういうとこ可愛いよなあ、A」
「はあ？」
「着慣れねえなら言えよ、着せてやんのに」
「それ…普通の女の子相手なら口説き文句なのかもしれないけど涙流しながら笑われると何の説得力もないわ…」
“デート”と名前を付けて出掛ける、そう決めたからそれっぽくするか、って一応頑張ってみたけれどやっぱり松田といるとデートって言うよりリラックス感が前に出る。
「そのワンピース、サイズどう？」
「サイズ？」
車を走らせながら、そんなことを聞かれた。サイズ？渡された時からぴったりだったけど
「ぴったり。それが？」
「なら良かった」
うーん、松田がやけに上機嫌。機嫌がいいに越したことはないから別にいいんだけど、何だか全くサングラスの影も見えないせいかちょっと違う人みたい。
「いい男すぎて見とれたか？」
「あー…やっぱ松田だわ」
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作者名：真琴 | 作成日時：2018年4月20日 23時
