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「ねー松田ー」
「おー」
「どこ行くのかくらいそろそろ教えてよ」
「教えたらお前逃げるからやだ」
「え、ちょっと、ほんとどこ行く気だよ！」
仕事を少し早めに片付け、迎えに来た松田と暫く車を走らせた。行き先も告げられぬまま着いたのは、
「…どこ？」
「こっち」
「ちょ、どっち！？」
どう見ても松田とは縁がなさそうな女物の並んだ店、しかもまた高そうな服ばかりだ。何だ？本当に何がしたいのか全く分からない。
「これ着てみ」
「はい？」
「いいから着ろ」
手渡されたのはワンピース。もうハテナしか浮かばない私を無理やり試着室に押し込む。着替えるまで出さない気だな、あの野郎
「……絶対、似合ってない…ていうかそもそもこれ誰が着るのさ、私が試着する意味なくないか？」
「着れたか」
「っ何も言ってねえのに開けんなよ！」
「よし、じゃあ行くぞ」
「行くぞってどこへ！？着替え…」
「車で話す」
どうしてこうも私の周りの奴らは強引なんだよ！少しは話聞けよ！
再び車に戻り、不満を隠そうともしない私を笑った松田。さあ、訳を話してもらおうじゃないか。
「ほんっとお前、思った通りの反応するよな」
「そりゃどーも。いきなりこんなとこ連れてくる方もどうかと思うけど」
「この前、俺とした約束忘れてんじゃねえだろうな？」
「約束…？この前っていつ？」
溜息を吐かれた。この前って真夜中に電話した時？うちで宴会した時？それとも萩原と来た時？仕事で会った時？どの話だ？
「一課との捜査の前、降谷とやり合った後、したろ、電話」
「あ…ああ、あれか。ちょっとだけ話したやつ」
『俺も賛成はしねえぞ。まあ、お前はどうせそれでも行きたがるんだろうから、怪我しねえで帰ってこい』
やっぱり松田もそう言うよな、って思いながら話したのを今、言われて思い出した。呆れたような言い方されて、それで、
「万が一、怪我してきたら俺の言うこと1つ聞け」
「……言ってたね…そんなこと。え、まさかそれがこれ？」
「そう」
「服買ってくれんの？太っ腹だなー…」
「馬鹿かてめえ、それ着て次の休み出掛けんだよ」
「…松田と？これ着て？」
「とは言え、いつ休めるか分かんねえんだろうし…」
「ちょ、ちょっと待った！出掛けるなら別にいつもと同じでいいじゃん、何でこんな…」
「俺が見たいから。」
頭が付いていかない。訳分かんない、サングラスぶっ壊したのは悪かったよ、だから分かるように説明してくれないかな…？
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作者名：真琴 | 作成日時：2018年4月20日 23時
