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局長室に呼ばれたのは登庁してすぐのことだった。昨日はそこそこの時間で全員帰宅したはずなので徹夜組もおらず私以外まだ誰も来てはいない。
「お話とは何でしょうか」
「とりあえず、掛けてくれ」
「…失礼致します」
こうして呼ばれることはあまりない。あったとしても降谷と2人一緒にだったり、事前に用件を伝えられていることが殆どだ。
「頼みたい案件があってな」
「それは、私単独で動く必要がある、と判断して宜しいですか?」
「ああ、降谷たちには伝えずに動いてほしい。後程、私から概要は伝えよう。」
差し出された書類を捲り、了承の返事をして局長室を後にした。もう揃っている時間か。変に勘付かれなければいいけど
「おはよう、」
「おはようございます、どこかへ用事ですか?」
「まあ少し」
風見からの質問を適当に流しデスクに置かれた書類を手に取った。今日もなかなか片付ける案件が多いな。ふと視線を感じ顔を上げると降谷に小さく手招きされた、ああもう、勘ばっかりいいな、あいつは
「おはよう、何?」
「来てたんだろ、先に。どこ行ってた」
「資料室」
「………」
「あのさあ、降谷」
「何だ」
「そんなにシワばっか寄せてるとモテないぞ」
「はあ?」
珍しい。降谷が職場でそんな声を上げるなんて。部下たちが驚いて見てる見てる。
「もういいだろ、仕事させてくれ」
「…分かった」
降谷が怖くない奴なんて多分ここにはいない。私や緑川は慣れているし、素も知っているから機嫌が悪かろうが怒鳴られようが別に平気だが、ここでの降谷の威圧感は凄まじいものがあり、なかなかあんな風に間の抜けた(というかお前馬鹿かと言いたそうな)声を聞く機会はないだろう
「ど、どうしたんですか降谷さん…だいぶ様子が…」
「怖い顔してるとモテねーぞって言っただけだよ、いいのは顔だけなんだから少しはにこやかにしてろよな。風見もそう思うだろ?」
「そ、そんなこと思いませんよ!」
「嘘吐けー」
「A、仕事しろ」
「はいはい」
何はともあれ、降谷の気は逸らせた。後々、小言を言われるのは明白だけど流石に局長から直々だと言えばそこまでではないだろう。
また、色んな意味で厄介なものを持ってきてくれたものだ。
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作者名:真琴 | 作成日時:2018年4月20日 23時