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普通か普通でないかで言えば後者。捨てたつもりはないけれど、気付いたら失くしていた。普通ってなんだろうか、それすら多分今の私にはよく分かっていない。
「ほはへはふはひはらふふうひゃへえほ」
「…飲み込んでから喋って」
「、何を今更。お前は昔から全然普通じゃねえだろ」
「あっははーすっごい失礼なやつー」
「あ、俺の飯!」
松田がかっこんでいた親子丼の器を奪い取り一気に傾けた。そういう答えが返ってくること自体は別にそこまで予想外じゃないけど、萩原と同じこと言った。しかも見てたのかと思うくらい同じ笑い方。お前らどこまで仲良しなんだよ。
「ご馳走様でした」
「ほんと…バケモンみたいに食うよな」
「いっぱい食べる君が好きって、なんかのフレーズで聞いた」
「いっぱい食べるとか可愛いレベルではねえわ。怪獣の食事」
「ぶっ飛ばすぞてめえ」
「んで?傷の具合はどうだって」
「うん、まあ、そこそこ」
「開いてたな?」
「うん、ちょっと開いてたわ」
「平然と答えるな、慣れたけど」
「ちょっとだけだし、痛くないから」
「お前…それまさか降谷には言ったんだろうな、痛くないからっていいわけじゃねえぞ」
「言ってねえよ、説教二時間コースだろ」
「じゃあ俺が一時間で勘弁してやる、行くぞ」
「…寝かせて……」
三徹明け、これから休み。タイミングよく入った電話に近くの定食屋で松田と食事中。私が先日病院に行ったことは緑川から聞いたのだろう。どうせなんでもなかったと言っても、無理やり確かめられるのは明らかだったから事実を話したらこれだ。降谷に言ったかだと?言うわけないだろ、般若の形相が目に浮かぶ。
「散々大人しくしてろって言われてたくせに突っ走るからお前はそうやって…」
「…運転しながら説教なんて器用だね、まさかとは思うけどどこに向かってるか聞いておこうか」
「警察庁」
「馬鹿じゃないの。私さっき退庁してきたばっかり」
「降谷、まだ仕事してんだろ」
「残念でしたー降谷は任務で出ておりますー」
「へえ?じゃああれは他人の空似か?」
「……はえーよ、くそったれ…」
警察庁からそう離れていなかった定食屋。駐車場に近づくとそこから入口に向かって歩いている降谷が見えた。終わったのか、今日の予定だったけどちょっと早いだろ。帰ってくんなよ。私はわざわざ怒られに帰って来たのか。松田め。
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作者名:真琴 | 作成日時:2018年4月20日 23時