たった1人のお姫様 (ページ33)

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渡辺「すいませんでした」

無言で帰路に着き、これから別れ話かな。
なんて思っていたら目の前の翔太は見事な土下座。
まぁ、綺麗。写真撮りたいレベル

渡辺「罵ってもいい。殴ってもいい。
だから…だから。

離れないで」

『え？』

渡辺「…え？
わっ、ちょ、今何時？58分じゃん。
ちょっと、ちょっと待ってて」

慌てたように立ち上がりどこかへ行く翔太
あ、足ぶつけてる。痛そ…

11:59

目の前に戻ってきた翔太は私の目の前で跪く

渡辺「A以外考えられません。
俺と…結婚してください」

12:00

目の前には四角い箱を開ける翔太

状況が掴めない私はショート寸前
嫌いなんじゃなかったの？
別れたいんじゃなかったの？
ツーっと涙が溢れれば、慌て出す翔太

『私のこと…どうでもいいんじゃないの？』

渡辺「本当ごめん。
どうでもよくなんてない。
好き。大好き。愛してる』

『ばか…』

抱きしめられれば久し振りの温もりと匂い
肩口に顔を埋めればぽろぽろと出続ける涙

渡辺「ねー、A。返事聞いてもいい？」

『……私も翔太しか考えられない
　よろしくお願いします』

渡辺「やばい。俺も泣きそう」

『ふふっ。なんで翔太が泣くの』

渡辺「キス…していいか？」

『今更聞く？』

渡辺「それもそうか」

ゆっくりと傾けられた顔
1秒もたたないうちに触れる唇。

あー、幸せだな…

渡辺「俺。今すげー幸せ」

『ふふっ』

渡辺「何で笑うんだよ」

『ん？私も全く同じこと思ってたからだよ』

首の後ろに手をまわしグッと力を込めれば触れる唇。

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