たった1人のお姫様 (ページ28)

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『この5年何だったの』

はぁ…と深いため息をつきながら私も座り込み、樹と同じ目線の高さになる

『蓋をしようと思ったし、
　忘れようとも思った。

　けどね？
　その蓋。簡単に開いちゃったみたい』

今度は私が伝える番
掴まれていない方の手を樹の手に重ねる

『私も…あの時からずっと好きです』

田中「は？え？は？？」

田中「ちょっと待って。
Aも俺のことが好き？」

『うん。好きだよ？』

田中「…っ、…可愛すぎ」

掴まれていた腕はそのまま樹の方へと引かれ
簡単に樹の胸元へ納まる。

田中「まじ辛かったんだからな
俺とは話さないくせに他の奴らとは話すし」

『……私だって辛かった。
　好きな人に"女として見たことない"
　なんて言われたら』

田中「それは本当にごめん。
なんか変に強がってた…

あのさ…もう撮影とか関係なくAと接しても良いんだよな？」

『それは…ちょっと…』

田中「は？なんで？もう前みたいに戻ったっていいだろ？俺たち付き合うんだし」

『付き合うの？』

田中「え？付き合わねーの？」

『ふふっ、付き合う』

田中「っ、可愛いな、もぅ…
じゃあなんで？嫌なの？」

『嫌ではないよ？
　嫌ではないんだけど、この関係が長すぎて
　恥ずかしいな。って』

田中「あーもう可愛いすぎ。
俺無理だから。目の前で他の男といちゃついてるとか」

『いちゃついてるって…
　そんなことしてないけど』

田中「本当無理だから。
A俺以外の5人とは話す時距離近いし、
なんなら基本くっついてるし。

それに！
いくら気を許してるからって飲んで潰れるとか…」

『あ、そうだ。なんで私ここにいるの？』

田中「ジェシーだよ。
お迎え来て♡って言われて最初断ったんだけど、じゃあA連れて帰って良いの？って言われて速攻で行ったわ」

『ジェシーと同じペースで飲んだからね』

田中「飲んだからね。じゃないの。
飲みに行くのは良いけど潰れるのは俺の前だけにして」

『ふふっ、はーい』

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