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A…A…
俺の頬を伝うのは涙なのか雨なのかわからないまま暫く時間が経てば、すれ違う人が俺をチラチラと見ていることに気付く。
"深澤辰哉"と気付いてなくてもこんな時間に雨の中道端で座り込んでいれば不審に思うだろう。
もしかしたら買い物に行っただけかも
明日になれば戻ってくるかも
自分に言い聞かせるように立ち上がり
先程までAがいた家へ戻る
家に帰り実感する
隅々まで掃除された部屋
綺麗に畳まれた服
それに冷蔵庫には料理ができない俺のために用意されたご飯
ごめん…ごめんな
辰哉どこにいる?
辰哉心配なので連絡下さい
辰哉会って話がしたい
俺の予想は当たり前のように外れ、
翌日も翌々日もその次の日も…
気付けば1ヶ月…
Aが帰ってくることは無かった。
LINEを送っても既読がつくことも無く
それでも諦めの悪い俺は今日もまた既読のつかないLINEに一理の望みをかけて送ってしまう
深澤「はぁ…」
岩本「どーした？悩み事？」
深澤「いや…まぁ」
こんなこと言えない
Aの存在はみんな知っている
"ふっかにはもったいない"と何回も言われた
岩本「なにがあったか知んねーけどさ？
お前が元気ねーとドラマ班解散危機だぞ」
くいっと顎で指示された方を向けば
いつもならうるさすぎて周りからクレームを言われてるはずの康二と佐久間がこちらの様子を伺うように静かにしていた
深澤「照ー、今日さ、夜空いてる？」
岩本「うん空いてるけど」
深澤「飲み行かね？」
岩本「酔い潰れねーっていうならいいけど」
深澤「サンキュ」
私情は持ち込まない。
あいつらに気を遣わせるとかどんだけ態度に出てたんだよ
深澤「目黒ー、監督やってよ
ドラマ班のさ撮影やりたいんだよね」
目黒「またショートコントっすか？」
向井「ちゃうわ！ショートドラマや！」
佐久間「俺たちバラエティ担当ドラマ班だからな！」
ファンの子に楽しんでもらうためのコンテンツを提供するのも俺の仕事。
隙間時間を見つけてはこうやって撮影をする。
撮影をしてる時だけはAのことを考えずにいられた
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作者名：つん | 作成日時：2022年8月28日 12時
