たった1人のお姫様 (ページ12)

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繋がれた掌
その手は車に乗っても離されることなくずっと繋がれたままで、家に帰ればぎゅっと抱きしめられた。

松村「ごめんね。俺が口下手だから」

『あ…でも、北斗電話では言ってたよね？
　好きに決まってるって。やっぱり他に…』

思い出したら悲しくなった。
北斗から離れようとしても寧ろ力が強くなって離れられない

松村「やだ。離れないで
俺Aがいないと生きていけない
それに…」

『それに？』

松村「A以外に好きな奴なんていない
Aが聞いたの多分樹。Aのこと好きなんだな。って言われて好きに決まってる。って返した気がするし…」

私の勘違い？

『でも、最近私と話すのめんどくさそうに』

松村「それは、その…
クールな俺じゃいられなくなるから」

『は？』

松村「やだ。怒らないで。
だってさAの前じゃかっこいい俺でいたかったんだよ。

けど…それがAを傷つけてたんだね。
ごめん…」

なんか一気に力抜けた。

『北斗離して』

松村「だから嫌だって。
離したらまたAどっかいっちゃうんでしょ？」

『行かないから』

松村「本当に？」

緩められた手。
北斗の首にぎゅっと抱き付けば安心する匂い

『北斗ってクールだと思ってるの？』

松村「え？クールでしょ？」

『でも北斗かまってちゃんの甘えたじゃん』

松村「は？いつ？」

『いつ？いつもだけど』

松村「嘘だ。え？嘘だよね？」

『まさか無意識なの？』

松村「いやいやいや、え？」

『ふはっ
　あー、面白い』

北斗の腕を抜け出しリビングへ歩き出せば
ねー、待って。なんて言いながら追いかけて来てて

『北斗…愛してるよ』

松村「お、俺も。愛してる」

その後は今までなんだったの？ってぐらい
どこへ行くにもついて来て鬱陶しいぐらい
けど目が合えば、

松村「ん？可愛いね？好きだよ」

って。
もう、どうでも良くなっちゃうよね

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