俺の昔話 フジ視点 ページ25
寝ているAちゃんをみていると、ふと昔のことを思い出した。
−−−−−
いつかの夏の日。
気がついたら海にいた。その海は今までで1番綺麗で、1番賑やかで、でも1番寂しかった。
俺はあの日、生きることをやめようとしていた。
原因は学校でいじめられていたことが原因だった。でも、他クラスのキヨたちにはそこまで辛いなんて、そもそもいじめにあってるなんて言わなかった。そんなこと言ったらまずキヨはクラスのみんなぶちそうだからなー
そこで少し遠出して、水着を着てあくまで遊びに来た人を装って遠くまで泳ぎに行った。
そのときだった、砂浜から離れてきてここでいいかなと泳ぐのをやめようとしたらバシャバシャと不規則な音が聞こえた。
そっちの方を見ると女の子が溺れていて、さすがに放っておくのは可哀想で、砂浜へ気を失っている女の子を連れて行った。すぐに親と思われる男性と女性がやってきて、救急センターへ走っていった。
「やっぱ死ぬのやめよう」
女の子を見ていたら死ぬのが怖くなってそのまま家へ帰った。
次の日、俺は先生に正直に話したしキヨにもちゃんと話した。案外キヨはしっかり聞いてくれただけで終わって、またいつも通りの生活に戻った。
それからだいぶと経ったある日、朝ご飯は外で食べようとたまたま目に付いたカフェに寄ると、
『何にしますか？』
Aちゃんがいた。
一目惚れだった。
ふんわりしてる笑顔に、可愛らしい声、綺麗な茶髪、そしてどこか懐かしい気持ち。
彼女の全てに惹かれていた。
毎日会いに行った。
ここのコーヒーのために来たんじゃない、君に会いにここに来た。
君が愛しかった。だからこうやって横に並んでいるのがうれしくて、ニヤけてしまいそうで。
だけど、俺は臆病だから後で後でと「愛してる」の言葉を先延ばしにした。
でも"あの海"に行った時気付いたんだ。
大好きだって言わなきゃなって、
だって、君はあの女の子だったんでしょ？
俺の命を救ってくれたAちゃん。
君は覚えていないかも知れないけど、
俺は君のおかげで幸せなんだ。
バレないようにキスをして眠りについた。
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作者名：えな吉 | 作成日時：2019年6月24日 0時
