【WT】New world【短編集】

キヲク。3 ページ15

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なんだかむしゃくしゃしてきた。イライラして、気分が悪くなった。記憶が2つある？そんな話あるわけないじゃん。

そんなことを思いながらなんとなくポケットに入れた手が、何かに触れる。


……手帳？

あぁ、そういえば2年前って言ったら正隊員になった頃だから、任務とかのスケジュールを書くために買ったような気が……。


それ以外は特に思い出すこともなく、適当にページをめくってみる。



「……、何これ」


”7月30日、防衛任務18:00〜19:00”



その下にあった、思いあたりのない文。



”A先輩の誕生日”



A…？誰？僕そんな奴知らないんだけど。


ぱら、ぱら、と1ページずつめくっていく。書いてあることはだいたい任務の事だけど、他にもランク戦やら学校のテスト期間やらが書かれている。



「…あ、これもだ」



”12月10日
A先輩と個人ランク戦、8-2で負けた”


8-2で負けた…？僕が？Aって人に？こんな人居たっけ…全く覚えてない。


ページをめくる指が止まらない。この人のことが知りたい、…いや、知っている気がする。けど記憶にはない。だから思い出したい。



「……」




”1月4日
A先輩が泣いていた。理由が分からない。”


”2月14日
A先輩からチョコを貰った。
形はあれだったけど、まあまあ美味しかった。”


”3月14日
A先輩にチョコをあげた。
ものすごく喜んでくれた。”





「…Aって人のことばっかじゃん。」



これじゃまるで僕がこの人のこと好きだったみたいだし。てかほんとに誰なの？




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”5月10日 A先輩が死んだ。”




………は？



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