＃８４ ＄剛典 ページ34
岩「別れた理由……
ちゃんと言ってなかったよね、俺の口から。」
俺がそう言うと俯いたAは、人づてに聞いたんだと思う。
岩「あの頃の俺……まだまだガキだったからさ。
お互い忙しくてAとなかなか会えない中で、
鈴音ちゃんと絡む事が多くなって。
Aと会えない寂しさ、鈴音ちゃんで埋めるようになってた。
そうしたら、いつの間にかAよりも鈴音ちゃんと居る時間の方が多くなって。
鈴音ちゃんにさ、蹴りつけろって言われて。
何にも考えずに、言われるがままAと別れたんだ。」
人生で、一番の後悔。
知ってるんだ、Aがどれだけ泣いたのか。
俺、見ちゃったから。
岩「それから鈴音ちゃんと付き合ったけどさ。
なんとなくで、過ごしてた。
俺にも恋人としての思いはあった。
それを知ってか知らずか
鈴音ちゃんはある日、俺を振ったんだ。
その時は……悲しかった。
それから少ししてだったかな。
俺の親友と付き合ってるって知って。
その時、Aがどれだけ悲しかったのか知った。
その時に俺の悲しみが、Aへの申し訳なさになった。」
ずっとドキドキする心臓。
一番最後に言う言葉は、ずっと決めている。
岩「俺、Aと付き合いながら鈴音ちゃんと居た時から
ずっと気付かないフリしてたんだ、いつの間にか。
Aの事想う気持ち。
Aに別れを告げた時も、鈴音ちゃんと付き合ってた時も、ずっと。
Aの事が好きだったんだ。」
俺がそう言うと、フッと顔を上げるA。
俺を見る綺麗な瞳がゆらゆらと揺れている。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：PIG BONE | 作成日時：2015年11月14日 11時
