＃７４ ページ24
沈黙が流れる店の個室。
店に着くなり
「あ！マネージャーに呼ばれとんやった！すまん、二人とも！」
といって出て行った健二郎。
岩「とりあえず、何か頼もうか。」
「そうだね。」
静かに始まったランチ。
昔は心地よかった沈黙が、
今では、心苦しく感じられる。
岩「俺、トイレ行ってくる。」
「うん。」
そう言って立って歩き出した剛典。
昼食なのに、何故か和室。
掘りごたつなのが幸い。
岩「うぉっ、」
何かに足を引っ掛けて倒れた剛典。
っ・・・・・
岩「ごッ、ごめん・・・嫌、だったよね・・・」
倒れた剛典の唇が、私の唇と重なった。
背中に触れる畳は冷たいけれど、
私の体温はドンドンあがって行く。
起き上った剛典を見ると、
顔がほんのり赤く染まっていた。
顔を抑えて壁にもたれる剛典は、
凄く絵になっている。
失礼します、
そんな女の人の声が聞こえてきた。
＊「お料理をお持ちいたしました。」
そう言ってテーブルに料理を並べる女の人。
剛典がゆっくりと元の席に戻った。
＊「ごゆっくりどうぞ。」
部屋を出て行った女の人。
キレイだったなぁ・・・
「「いただきます。」」
偶然同時にそう言って、食べ始めた。
「ん、美味し・・・」
岩「・・・ウマ、」
不自然な空間に、
二人の食事をする音だけが聞こえる。
岩「そう言えば、鈴音ちゃんからメール来た。」
「鈴音？メアド知ってんだ。」
岩「あぁ・・・まぁね。」
「鈴音のメールがどうしたの？」
岩「今度飲もうだって。後でメアドと番号教えとく。」
「分かった。」
何よりも・・・
何で剛典が鈴音の連絡先を知っているのかが気になる。
あ、鈴音って言うのは高校の時の親友。
卒業してから全く連絡を取っていなかった。
っていうか、高校の時の同級生とは仲良かった人とも疎遠になってるしなぁ。
高校を卒業してから初めて会った同級生は
剛典ぐらい。
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作者名：PIG BONE | 作成日時：2015年11月14日 11時
