＃６９ ページ19
“ほら岩ちゃん、今劣勢だから押さないと。”
そう言ったELLYに押されて、
バランスを崩した剛典。
私の後ろには、冷たい床。
顔の横には、剛典の手。
まるで・・・剛典が私を押し倒したかのよう。
こんな事、本当にあるんだ。
時が停まった様に感じたけれど、
周りには臣も、健二郎も、ELLYも隆二も居るんだ。
「・・・剛典？」
岩「っあ、ごめん・・・」
離れて行く剛典の腕を掴みたくなる。
速くなった鼓動は、治まる事を知らない。
ボーっと皆が楽しそうに話すのを見ていた。
ふと、ELLYの言葉が気になった。
「ねぇ、そう言えば剛典が劣勢とかナントカって・・・
どういう事？」
そう聞いても、聞かないであげてと言う健二郎。
ココは、折れてあげるか。
それから、健二郎の一言で帰る事に。
臣と私、運転手さんだけの車内。
運転手さんが居るからか、あまり話す事のない臣。
臣「そうだ、これ。」
「ん？開けていい？」
臣「良いよ。」
「ピアス！ありがとね〜、これ丁度欲しかった奴だよ。」
臣「マジで？！ヤッベ、俺てんさーい(笑)」
小さくガッツポーズをする臣が見えて、
思わず笑ってしまった。
臣「何笑ってんの(笑)」
「臣がガッツポーズしてるから。」
臣「悪い？」
「悪いってか・・・可愛い。」
臣「やだ。」
「何が。」
臣「可愛いじゃなくてカッコイイが良い。」
「あっそー。」
そう言ったら、タクシーが私と臣のマンションに一番近いコンビニに停まった。
お金を払おうと思ったら、臣が払ってしまった。
「ごめんねー、払ってもらっちゃって。」
臣「男として当たり前でしょ。健ちゃんとは違うから。」
「そっか、そうだよね。」
臣、なんか違う。
どうしたんだ？
「臣、頭打った？」
臣「は？」
「今日の臣、何か違う。」
臣「・・・何でだと思う？(笑)」
「さぁ・・・皆目見当もつかない。」
臣「・・・恋のパワーだよ。」
「は・・・？」
臣の好きな人・・・・
「誰々？！」
臣「ヒミツー♪」
そう言って唇に人差し指を当てる臣。
くそっ、画になるぜ・・・
じゃなくて・・・
誰だ？？？
.
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作者名：PIG BONE | 作成日時：2015年11月14日 11時
