<４１> side F ページ41
なぜだろう…
この涙が、
幸せな涙よりも妙に綺麗に見えたのは…
「みっくん。」
彼の両手を包んでいた右手だけを離し、
そっと彼の頬に伝う涙を拭う。
彼の眼は真っ赤に充血していたけど、
その瞳はうるおいを纏って輝いていた。
彼を構成するものは、
いつだって、なんだって、
美しすぎるくらい美しい。
「泣かないで？
もう、自分のこと…責めないで？
ねぇ…
みっくんが抱えてるその罪悪感、
俺にも半分持たせてもらえないかな？
みっくんは、ひとりじゃないよ。
ひとりで抱え込んで辛いなら、
俺が傍で支えてあげたい。」
「たぃ……」
「みっくん…好きだよ。
ねぇ、やっぱりどうしても好きっ…
諦め悪くっても、往生際悪くっても、
みっくんのこと、やっぱり忘れられない。
好きじゃなくてもいいよ！
みっくんが俺のこと好きじゃなくても…
一緒に…住めなくても…
ねぇ、傍にいちゃダメ？
みっくんに逢いたい…逢いたいよ…」
目の前の彼の顔はぐちゃぐちゃに
歪んでいて…
それは、自分の涙のせいだと気づいた。
なんで俺は、こんなにも、
この人じゃないとダメなんだろう…
好きで、好きで、どうしようもない。
彼がその罪の意識を背負って苦しいなら、
俺も一緒に背負いたい。
彼が分け与えてくれるものならば、
たとえそれが苦しみでも、
俺は悦んで受け入れたい。
涙で霞んだ視界が少し晴れると、
やはり彼もぐちゃぐちゃになって
泣いていたようだ。
溢れ出すものはその雫だけでは収まらず、
次第に嗚咽を漏らすようになった。
堪えきれない苦しみの声が、
静かな部屋に反響する。
止めどなく流れ落ちる彼の涙を、
今度は両手で頬を包み込んで塞き止めた。
もともと小さかった彼の顔は、
逢わなかったこのわずかな期間で
さらに小さくなっていた。
その分、瞳の大きさがより際立って、
幼顔に拍車がかかって見えた。
愛しくて…たまらなくなって…
思わず彼の身体を抱き寄せた。
俺の胸に顔が埋まって、
彼の漏らす泣き声もくぐもって聴こえた。
やがて、
その声が少し落ち着いてきた頃、
抱き留めていた彼の身体を少し離すと、
彼の顔はまだ涙に濡れていたけど、
嗚咽はおさまっていた。
もう一度彼の頬を両手で包んで拭った。
そして、その手を添えたまま、
俺はゆっくりと、
彼の唇に自分のそれを引き寄せようとした。
．
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みっか(プロフ) - はるかなたさん» いつもこんな駄文を褒めてくださって恐縮です(。>д<)本当にありがとうございます！！あたたかいお言葉にお応えするためにも、できるかぎりのスピードアップは図っていきますo(｀^´*)これからもどうぞよろしくお願いいたします♪ (2016年5月27日 12時) (
レス) id: 8370f2c93c (このIDを非表示/違反報告)
みっか(プロフ) - はるかなたさん» 現時点でのふたりには絶望しかないはずなのに、どこか明るくなったように感じられるのはやはりお互いを想う気持ちだけは間違いないことがわかったからかもしれませんね。これからもう少しみっくんの想いを明らかにしていこうかと思っています。 (2016年5月27日 12時) (レス) id: 8370f2c93c (このIDを非表示/違反報告)
みっか(プロフ) - はるかなたさん» いつもコメントありがとうございます♪言ってくださってる表現、ものすごくわかります！自分の作品のくせに人様からのお言葉に激しく共感するところがまだまだ未熟な証ですが(^^;でもこの話のタイトルどおり、そういうほの暗さを表現したいと思っているのは確かです！→ (2016年5月27日 12時) (レス) id: 8370f2c93c (このIDを非表示/違反報告)
はるかなた(プロフ) - 意味ではありませんので！そういうのではないので！今回の更新の件ですが、すごくすごく美しい文章でした！！←偉そうにすみません！でもほんとに！今までで一番好きな回かもです。みっかさん、マイペースですよー。ぼちぼち行きましょー(*^^*) (2016年5月26日 22時) (レス) id: fb50bd66c9 (このIDを非表示/違反報告)
はるかなた(プロフ) - 視界がはっきりするかと思ってたけど、やっぱりほんのり薄暗い。けど、私には、泣きつかれたみっくんと太ちゃんを目の当たりにしても、どこか前よりも明るくなった気がするんです！もちろんそれは、私の勝手な解釈です！なので、ハッピーエンドにしてください、って (2016年5月26日 22時) (レス) id: fb50bd66c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みっか | 作成日時：2015年12月26日 13時
