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<18> side F ※ ページ18

「はっ…ごめんっ、
 やっぱ気持ち悪いよね?」


彼が吐き出すのを見て咄嗟にそう判断した。


でも、彼は苦しむどころか、
むしろ挑発的な目線を向けたままで…


すると、突然俺の膝を持ち上げ、
吐き出した欲を露になった蕾のあたりに
塗り込めてきた。





「っ、みっく…!?」


最初は彼のやってることがわからなかった。


でも、もしかして…
男同士だからココを使うってこと…?


男を好きになり、
散々自分からは仕掛けておいて、
そんなことにすらピンとこないくらい、
俺はこの世界のことに疎かった。


彼の行動の意味が
自分の中での解釈と繋がった頃、
味わったことのない感覚が
じんわりと下半身から全身に伝わってきた。


「ぁ、んっ…」


くすぐったかっただけの感覚が、
その指が徐々に奥へと押し進む毎に
重苦しさに変わってゆく。


「んっ…クッ…」


あまりの圧迫感に思わず力が入って、
息をするのも忘れてしまう。


たかが指1本ですらその侵入を拒むように、
正直苦しくてたまらなかった。


違和感しか感じなくて、
内臓がかき回されたように気分が悪くなる。





でも、やっぱり嫌だとは思えなくて…


苦しさしかない行為でも、
その相手が他でもない彼だと思うだけで、
心は果てしなく高揚した。





膝を曲げた状態でソファに寝転ぶ俺に、
彼が上から覆い被さる。


息苦しさと恥ずかしさから、
俺はたまらず彼の首もとに腕を回して
抱きついた。


「はぁ…みっく…」


耳元で響くその声に反応するように、
彼は俺の中に指先を埋めていきながら、
耳や首筋に舌を這わせてきた。


「あぁっ!んんっ…」


力が抜け、緩和され始めた苦しさ。


よくわからないフワフワとした感覚が
身体を包み、頭は惚けて何も考えられない。


でも、苦しみから解放され始めると、
今度は沸々と彼への愛しさが湧き出てきた。





しがみついていた腕の力を少し弛めて、
目線が合うギリギリの距離まで身体を離す。


間近で見る彼の顔は、
雄の匂いがするのに華麗で美しかった。





「ハァ…みっ、く…



 俺の、こと…抱いて…くれるの…?」





この行為の意味と、次への期待に、
頭はのぼせ上がっていた。





俺の言葉に、
薄暗かった彼の瞳に光が差した。


それを見逃したまま、
俺は無意識に彼の唇に
自分のそれを重ねようとした。







…………ガバッ!





突然離された身体。





目の前には、
愕然とした表情を浮かべる彼の姿があった。







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みっか(プロフ) - はるかなたさん» いつもこんな駄文を褒めてくださって恐縮です(。>д<)本当にありがとうございます!!あたたかいお言葉にお応えするためにも、できるかぎりのスピードアップは図っていきますo(`^´*)これからもどうぞよろしくお願いいたします♪ (2016年5月27日 12時) (レス) id: 8370f2c93c (このIDを非表示/違反報告)
みっか(プロフ) - はるかなたさん» 現時点でのふたりには絶望しかないはずなのに、どこか明るくなったように感じられるのはやはりお互いを想う気持ちだけは間違いないことがわかったからかもしれませんね。これからもう少しみっくんの想いを明らかにしていこうかと思っています。 (2016年5月27日 12時) (レス) id: 8370f2c93c (このIDを非表示/違反報告)
みっか(プロフ) - はるかなたさん» いつもコメントありがとうございます♪言ってくださってる表現、ものすごくわかります!自分の作品のくせに人様からのお言葉に激しく共感するところがまだまだ未熟な証ですが(^^;でもこの話のタイトルどおり、そういうほの暗さを表現したいと思っているのは確かです!→ (2016年5月27日 12時) (レス) id: 8370f2c93c (このIDを非表示/違反報告)
はるかなた(プロフ) - 意味ではありませんので!そういうのではないので!今回の更新の件ですが、すごくすごく美しい文章でした!!←偉そうにすみません!でもほんとに!今までで一番好きな回かもです。みっかさん、マイペースですよー。ぼちぼち行きましょー(*^^*) (2016年5月26日 22時) (レス) id: fb50bd66c9 (このIDを非表示/違反報告)
はるかなた(プロフ) - 視界がはっきりするかと思ってたけど、やっぱりほんのり薄暗い。けど、私には、泣きつかれたみっくんと太ちゃんを目の当たりにしても、どこか前よりも明るくなった気がするんです!もちろんそれは、私の勝手な解釈です!なので、ハッピーエンドにしてください、って (2016年5月26日 22時) (レス) id: fb50bd66c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みっか | 作成日時:2015年12月26日 13時

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