三十三話 ページ33
Aが嫌がっていることを気にしないと言わんばかりに男達はナンパをし続けている。
｢そんな遠慮せずにさー｣
｢そうそう、一人でいるより俺らといた方が楽しいよ｣
『あの、大丈夫ですから…』
Aは相手を傷つけぬよう拒否しているがなかなか男達は離れていかない。
だんだんAの気持ちも表情に出ていき、最終的には真正面から拒否する姿勢となった。
『本当にやめてください、迷惑です』
｢んだよ、ツレねーな、良いだろちょっとぐらい｣
一人の男が大きく舌打ちをし、Aの腕を掴み自分の方へと引き寄せる。
その瞬間、自分の中の嫉妬心が爆発したような気がした。
やめろ、その手でAに触るな。
こんな俺が言うことじゃないけど、
もうこれ以上、Aに傷ついてほしくない。
今の俺の表情はすごいことになっているだろう。
でもそんなことは関係ない。
嫉妬と怒り、少しだけの後悔を交えながら、俺は男の腕を掴んだ。
『…え……』
｢あ？｣
shp｢彼女が困ってるの、分かりませんか｣
｢誰だテメェ、関係ねぇ奴が首突っ込むんじゃねぇよ｣
男が放つ言葉を無視し、俺は続ける。
shp｢可哀想ですね、相手がいないからナンパとか｣
得意の煽りをかましてやると男達の顔に青筋が浮かぶ。
｢おい、調子乗んなよ｣
shp｢そんな事してる暇あるんだったら婚活でもしたらどうですか？｣
｢っ、テメェ…！！｣
男はそう言い、俺に大きな拳を向けてきた。
恐らくこのままでは殴られてしまう。
痛い思いをするのは嫌いだが、不思議と怖くない。
俺は静かにポケットからスマホを取りだした。
shp｢いいんですか？ こっちはすぐに警察だって呼べるんですよ？｣
脅し気味に言えば男達は簡単に怯み、怯えたようにその場を去っていった。
冷めた目でその男達の背中を見ながら考える。
この場には俺とAの二人だけ。
本当のことを伝える絶好のチャンスなのに、なぜか口が開かない。
自分の頬を冷や汗が伝う。
まだ、見えない何かを恐れている自分がいる。
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瑛南(プロフ) - 俎板さん» このお話で泣いていただけて嬉しいです！コメントありがとうございました、これからもよろしくお願いします！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: 2c675d9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
瑛南(プロフ) - すーさんさん» ありがとうございます！そんなお話を書きたいと思っていたので、好みに合ったのなら良かったです！これからもどうぞよろしくお願いします！ (2021年10月3日 19時) (レス) id: 2c675d9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
瑛南(プロフ) - 白夜ちんさん» ありがとうございます！そんな気持ちでお話を読んでいただけて嬉しい限りです！これからもよろしくお願いします！ (2021年10月3日 19時) (レス) id: 2c675d9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
瑛南(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです！ (2021年10月3日 19時) (レス) id: 2c675d9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
俎板(プロフ) - 幾度も涙を流しながら読ませて頂きました。これからも応援してます！ (2021年10月3日 12時) (レス) @page45 id: 53028413f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑛南 | 作成日時：2021年4月18日 17時
