グラサンと眼鏡 中編ーHiGH&LOW THE WORST

グラサンと眼鏡45 ページ45

ーーー小田島ーーー




図書館。





俺は今、読みたくもない漫画を読んでいる。




歴史の勉強漫画。



小学生用じゃねーのか？これ。




「おい。」




『(…しっ！)』




向かいで分厚い参考書に没頭していたAが、


眉間にシワを寄せ、口に指を立てる。




黙れと。




そしてそのまま下を向き、ペンを走らせる。




勉強ばっかしやがって。



なんだこれは。





俺らはあの日から、付き合うことになった、はず。





でもこの女は相変わらず自分勝手だ。




ーー

　



『あたし部活引退するから。』



今まで楽器に忙しくしてた分、


この夏は俺に身を捧げるのか。



可愛いとこあんじゃん。



そう思って期待してたんだが。






『医学部目指してるからね。てか、あんたも少しは勉強したら？』




「はぁ？んだと？」





鳳仙の四天王が、


医者志望の女と付き合ってる。



なーんだこれ。



誰が予測できた？





ーーー




実際、集中して静かに勉強しているAを眺めるのは悪くはないが、



にしても、



この漫画。




バカにしすぎじゃねーか？






「飽きた。」





絵に描いたような不良が、

こんな綺麗な図書館にいることすら、格段に目立つ。



そして、偏見の目。




…もう我慢の限界だわ。







俺は漫画をAの方にポンと投げ、立ち上がり、背伸びした。




鬼の視線が向かいから飛んでくる。




それを無視して俺は図書館を出た。







ーーー




セミが鳴いている。



青々とした空気を吸い込み、俺はぐっと伸びをした。






『ちょっと！18時までって言ったじゃん！！』




Aが後から俺を追いかけてきた。



慌てて鞄を閉めている。








「勉強の日は俺と会うなよな？退屈すぎ。」





『は？勉強は毎日なんだけど。』






はぁ、と大袈裟にため息をついている。







「ほらよ。」




その手をそっと握り、歩き出す。




『どこいくの？』





「さんぽ。」






『ったく。だいたいね、いっつも邪魔して…』






まーたやんや言ってる。



俺はその減らず口を塞ぐように、そっとキスをした。









『っ！』



Aは真っ赤にして口を手で押さえている。





「黙って散歩しとけ。それとも、…この先しに行くか？」





『ばっ…』





瞬時にバシッと肩を叩かれる。




んー、まだだめか。



ま、気長に待つか。






今日はこれで勘弁してやろ。








ーENDー

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