グラサンと眼鏡 中編ーHiGH&LOW THE WORST

グラサンと眼鏡43 ページ43

ーーーAーーー


小田島にひっぱられ、道をすり抜ける。





『ちょっと…何？』



「なに、ってねぇだろー。」



小田島はポンポンと、伸ばした腕で肩を叩いた。


角を曲がり、バス停からも離れ、どこに向かってるのかもわからない。






「んで、どーする？」





『は？』





「どーしよっか？」





何を聞いてるのか、なんとなくわかるから、


私は気がつかないフリをした。



恥ずかしすぎる…



小田島は面白そうに、綺麗な横顔を上に向け、

ふっと鼻を鳴らした。




「ま、どーしてもってぇなら、付き合ってやってもいいけど？」



なっ…


こいつ…サラッとなんてこと…！！




『な、なんであたしがっ…』



私は体をのけぞらせて、小田島から離れた。



腕の空いた小田島は、そのまま頭の後ろで腕を組んだ。




「はいはい。素直じゃないねぇー。」





小田島は、それでも満足そうに口元を緩めている。



『は？どっちが…』



私がそう言うと、小田島は私の両肩を掴んで、

くるっと自分の方へ回転させた。



至近距離で見下ろされ、息が止まる。


透き通ったブルーグレーのグラス越しから、


じっと私を見つめてきた。



っ…





それに耐えられず、

私は真っ赤に噴火して下を向く。





「はい、負けね。」




小田島はそう言って、ぽんと私の頭に手を置いた。



『なっ… 』



恥ずかしくて、頭を振って手を振り払う。


距離を取るように、一歩下がった。



『っなにそれ。』




そんな私を見て、小田島はふっと鼻を鳴らした。




「素直になりな？」




小田島はまだ面白そうに私を見つめている。


マウントとるのが上手い男。


私は仏頂面で視線を送った。


でも、どうしても胸のドキドキが収まらない。







『…どっちが。』




さっきから聞いてれば、誘導尋問みたいに。



まるであたしの方がこいつの事…



私は不貞腐れて視線を下に向けた。




そう来られると、負けず嫌いな私は素直になれない。






小田島はあーあ。とため息を漏らし、



すっと私の横についた。







「仕方ねぇな。」






左側の視界が狭くなり、


頬にふわっと風がなびいた。







『え…』





一瞬だった。






ポンポンと頭を叩かれるけど、


まだ私は放心状態。





「ったく。めんどくせーやつ好きになっちまったなぁ。俺。」









小田島が私の頬にキスをした。

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