グラサンと眼鏡 中編ーHiGH&LOW THE WORST

グラサンと眼鏡27 ページ27

ーーー小田島ーーー




手当てをされながら、


俺はインテリ眼鏡の事を考えていた。


あいつは一体なんなんだ…




「あのさ、」



『何？』




「なんでバイト辞めた？」




ピタッと女の手が止まる。


多分、今、こいつの頭にはあの男のことが浮かんでいる。


っち。



返答に困ってるのか、何も口に出さない。


それもそれで、イラつく…





「…そんなに俺に会うのが嫌か？」





『それは…まぁ、嫌っていうか、その…』




「…なんだよ？」



女はまた黙って下を向いてる。


そして、ぼそっと呟いた。



『…ブスとか言うし。』




え…？





はっきり嫌だと言われると思って身構えてたのに、


女はちょっと不貞腐れたように口を尖らせていた。





あれ…


別に嫌われてない、、か？



俺はその頬に指をぷすっと刺した。




『っな！ちょっと！』




女が頬をおさえ、ぐっと身を引いて俺を見上げた。




多分、もう俺は、


こいつの事、可愛いって思ってしまっている。




「ブスにブスって言わねぇだろ。」





『え…』





「バーカ。」





『は？あんたね…』



また俺に向かって睨みをきかす。



やっぱり独り占めしたい。


こんな生意気な女、なかなかいねぇもん。


勝手だし、変に期待させやがって。



だから、余計に…




「ムカつくんだよ。」





『は？なにが？あーも！やっぱあんた…』





「もう俺だけでいーだろ。」



俺は手を伸ばし、そっと顎に手を添えた。


くいっとこっちに向かせる。






『っ…！』





「お前が連れてきたんだから…責任とれよな？」





責任とってもらう。





おれは佐智雄みてぇに大人じゃねぇーし。




手に入れるまで、やめない。





『っ！！な、なにすんのっ！！』





「ふーん？ 顔、真っ赤だけど？」





『バッカじゃないの！』






「…キスでもされると思ったか？」





『っ！！』




バコっと拳が肩に当たる。




「いって！」




『あーもう！！せっかく人が親切に…さっさと帰れ！あほグラサン！！！』





女はあたふたしながら立ち上がった。



顔はまだ真っ赤。




「あほグラサンって。あのなぁ、俺にはちゃーんと名前あるだろが。ほれ、ゆってみ？」





『金髪グラサンボケカス。』



あっは。



すっげーあだ名。




「ま、今日はいっか。」




俺は絆創膏を数枚取って、立ち上がった。

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