グラサンと眼鏡26 ページ26
ーーーAーーー
急に現れて、
誘拐するように連れ出しといて…
「…もういいわ。」
そう言ったあいつの顔は、
なんだか虚しいような、そんな表情を浮かべていた。
"一連のお掃除が終わったから。"
さっきそう言った。
そんなこと、わざわざ教えなくてもいいのに。
私、ずっと無視してたのに。
レッドラムの主犯格を潰したから、
もう大丈夫だって、
そう伝えてくれた?
このまま帰していいのだろうか…
少し汚れた制服の後ろ姿に、
私は声をかけていた。
『…時間作ってあげてもいいけど?』
「え…」
帰ろうとしてた足を止めて、こっちを振り返る。
その口元には痣があった。
『とりあえずそれ、手当てしたら?』
「っ?」
私の口からそんな言葉が出るとは思ってなかったのか、グラサンは、宇宙人でも発見したのかってくらい、想定外な顔をしていた。
『じゃ、ついてきてくれる?』
「…まじ?」
ーー
そして、私は自分の家まで彼を連れて帰った。
「え、家?」
『そーだけど?』
両親は運送会社を経営してて、
だいたい家にはいない。
「いきなり家なんて、俺のことどーするつもり?」
グラサンは、ん?と首をあげて私を見下ろした。
その鎖骨から、半端ない色気を出す。
この色眼鏡…
『…ふざけてないで座ってくれる?』
グラサンがけっ。と言って、ソファーに腰をかけた。
救急箱から消毒液を取り出し、机に並べる。
『はい、どーぞ。』
私は掌をテーブルに向けた。
「え?やってくれねぇの?」
グラサンがへ?と目を大きくする。
『え、やるの?』
「やるもんだろ?はい、どーぞ。」
そう言って、サングラスを外し、
顔をこっちに向けて目を閉じる。
うわ…
今まで素顔見たことなかったけど、
この人、物凄く、
顔が整ってる…
なんか、ちょっと、ビビる。
「ん。」
そう言って、すこし顎をあげて催促された。
まつ毛、長い…
私は緊張しながら、ピンセットで消毒綿を口元につけた。
「イッテ!」
『あ、ごめん…』
「・・・。っ!」
『ちょっと、動かないで。』
「ん。」
大人しくなるグラサン。
なんか、こうやってると、
少し可愛気すら感じてくる。
私は早めに手当てを済ませ、立ち上がった。
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ななし(プロフ) - rriさん» ありがとうございます!更新遅くてごめんなさい。それでも読んでくださってすごく嬉しいです。ワーストの本編の続編を現在書いているので、そちらもお見せできる日が来たら、是非よろしくお願いいたします! (2020年1月13日 2時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
rri(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!最後まで更新していただきありがとうございました!!すごい好みな書かれ方だったのでまた新しい作品書かれる機会がありましたら、読ませていただきたいです!今回のお話もとっても面白かったです!!お疲れさまでした(^_^) (2020年1月12日 21時) (レス) id: 476bb9a440 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 苺華さん» ご指摘ありがとうございます!ミスでした(;ω;) (2020年1月6日 19時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
苺華 - 初コメ失礼します!23話の何故か捕まってたはずの楓士雄の彼女って所は、佐智雄くんの彼女じゃないんですか…??勘違いだったらすみません!! (2020年1月6日 17時) (レス) id: 1128e57cc5 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - rriさん» めちゃめちゃ嬉しいですっ!ありがとうございます!!更新ノロマでごめんなさい。でも、完結させるぞっ!て気持ちになりました。どうか暖かく見守っていてください(^^)ありがとうございます! (2019年12月19日 2時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななし | 作成日時:2019年12月1日 13時