149 ページ50
ーーー楓士雄ーーー
マドカ「で、上田の妹と沢村がね…」
原沢商店で、マドカがペラペラと口を動かす。
隣には真也。
前と違うのは、
そこに、新太とAが加わっている事だ。
真也「で、元気なのか？村山は。あいつ休職して旅してんだろ？」
むらっちの話を出し、正也がおい、と真也を小突く。
『あー…、たまに、電話かかってくるけど…』
おう。
それも知ってる。
Aはむらっちから電話がかかってくると、
さっと外に出るし。
マドカ「へぇー。待っとけって言っときながら、自由なやつ。ねぇ？」
マドカが俺の方を向くから、
変な事を口走らないように、ガブっときゅうりをかじった。
鬼邪高キングが不在になって、
定時が落ち着いた頃に、その話は広まった。
むらっちめ…
余計な置き土産しやがって…
真也「俺は、いいやつだと思うが。」
こいつ…
マドカと付き合ってからよく喋る…
俺は聞こえないフリをした。
するとそんな俺を見て、マドカがすかさず口を挟んだ。
マドカ「あたしは他にもっといい奴いると思うけどー？ほら、…いつも側にいてくれる的な？」
マドカはAにそう言って、真也の肩に腕をかけた。
目線は完全に俺。
…おい、バカ！
黙れ！と目で訴える。
『は？なっ…なに言ってんのっ… あ、、
新太、それ食べないなら貰う。』
新太「え…俺まだ…」
Aはめちゃくちゃ動揺して、自分の口を塞ぐように、きゅうりを放り込む。
顔は、俺と同じくらい赤い。
俺の方を見ず、むしゃむしゃと口を動かしている。
…お？
…ちっとはこないだのジャブが効いてるか？
そんな俺らをじーっとみて、
正也が頬杖をついた。
正也「お前らいつまでやってんだろうな。」
『は？』「あ？」
Aと返事が重なり、誠司がぷっと吹き出す。
そしてそれを皮切りに、他のみんなもクククと笑い出した。
『ちょっと！！』
原沢商店に、Aの声が響く。
あぁ。
俺はずっとこうやって、
みんなと過ごしたい。
団地のみんなも、
鬼邪高メンバーも、
大切な仲間だ。
頬を膨らましたAに目を向ける。
サラッと流れる黒髪が、赤くなった耳を隠していた。
こいつが、俺に振り向くかってのは、
また、いつか。
いつかの話。
ーーENDーー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななし(プロフ) - maschera0411さん» みなさまコメントありがとうございます！続編、書きはじめちゃいました！よろしくお願いしますっ！ (2020年1月13日 16時) (
レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
maschera0411(プロフ) - 楽しく拝見させていただいてます。続編……楽しみにしてますね (2019年12月5日 14時) (レス) id: 0853a8ef5d (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - つばきさん» 素敵なコメントありがとうございます！とても嬉しいです。私も最後まで読んでいただけて幸せです。今は中編はじめたので、そちらもよければお願いします。 (2019年12月1日 14時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - shiorimaiwwさん» コメントありがとうございます。私もなんか寂しい気持ちです。また、続編書けたら頑張りますね！ (2019年12月1日 14時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 詩暢さん» 最高だなんて…ありがとうございます！嬉しいです！！また作品をお見せできるよう頑張りますね！ (2019年12月1日 14時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななし
| 作成日時：2019年11月7日 1時
