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ーーーAーーー
楓士雄の顔が険しくなる。
「信用って…なに簡単に言ってんだ？」
私はそう言われて、更にカッとなってしまった。
…何にも知らないくせに。
『別に楓士雄は知らなかったでしょ？あたしがどんな状況で…、家も無くなって… 』
「あ？んなもん…」
『その時SWORDで何が起きてたか。あいつが大人だからこそ、あたしを家に置いて…』
「は？なんだそれ…」
楓士雄は眉間に力を入れながら、耳を疑うように、目をまん丸にした。
え？
その表情をみて、一瞬固まる。
やば…
あたし今…
楓士雄の顔がみるみると噴火していく。
「お前、…村山と住んでたのか！？」
…わ
楓士雄が今まで見たこともないくらい、
顔を赤くしている。
「考えらんねぇ！ありえねぇだろ！」
楓士雄は本当に血が繋がってる兄なんじゃないかってくらい、怒りと落胆の表情を浮かべた。
『…仕方なかったの！あの時はっ…』
「は？俺とは意味が違げぇだろーが！！信じらんねぇ…あいつもあいつで男なのに…」
楓士雄は全然怒りが止まらない。
私は抵抗するように、声を荒げた。
『村山はそんなんじゃないっ！』
私が怒りを込めてそう言い放つと、
楓士雄はぐっと喉に力を入れて、息を止めた。
そして、私を見放すように、すっと真顔になる。
「もういい。勝手にしろ。」
もう何を言っても無駄だった。
楓士雄の言い分もわかるけど、
あたしだって…
あたしだって…
悔しさと、悲しさで涙が出そうになり、私は楓士雄から目線を外した。
言葉が出ない。
楓士雄はそのまま背を向けて、自転車を漕いで行く。
私は、くそっ！と地面を蹴った。
『今日は帰んないから！！！バカ！！！』
聞こえたとは思うけど、楓士雄はそのまま角を曲がって見えなくなった。
ーー
私はそのまま、当てもなく歩いた。
そろそろ日が暮れる。
…楓士雄のバカ。
でも、楓士雄をガッカリさせたのは事実。
…ちゃんと言っておけばよかったかな
辛いな。
いつぶりだろう。
楓士雄と喧嘩したの…
そして、夕陽が差す頃、
私は懐かしい絶望団地の前に立っていた。
"WELCOME TO H--E--LL"
荒れ果てた廃墟と化した巨大な団地。
その看板を眺め、私は昔の事を思い返していた。
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ななし(プロフ) - maschera0411さん» みなさまコメントありがとうございます！続編、書きはじめちゃいました！よろしくお願いしますっ！ (2020年1月13日 16時) (
レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
maschera0411(プロフ) - 楽しく拝見させていただいてます。続編……楽しみにしてますね (2019年12月5日 14時) (レス) id: 0853a8ef5d (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - つばきさん» 素敵なコメントありがとうございます！とても嬉しいです。私も最後まで読んでいただけて幸せです。今は中編はじめたので、そちらもよければお願いします。 (2019年12月1日 14時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - shiorimaiwwさん» コメントありがとうございます。私もなんか寂しい気持ちです。また、続編書けたら頑張りますね！ (2019年12月1日 14時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 詩暢さん» 最高だなんて…ありがとうございます！嬉しいです！！また作品をお見せできるよう頑張りますね！ (2019年12月1日 14時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななし
| 作成日時：2019年11月7日 1時
