116 ページ17
ーーーAーーー
村山のところから帰ってきた楓士雄は、
なんかいつもと違っていた。
いつも無駄に絡んでくるのに、全く構ってくれない。
むしろ、イラついてる。
あの時、いつからいたんだろ…
番号渡したところ見られてたんかな。。
てか、村山と何話したんだろ…
まさか、村山と一緒に住んでたこと…
私は、楓士雄に知られたらと思ってゾッと身震いした。
怖すぎる。
めっっちゃ怒られる…
そう思ったけど、楓士雄は一向に怒ってこない。
でも、不機嫌そうだった。
バイトのない日は、楓士雄の自転車の後ろにのって家に帰る。
今日も同じように駐輪場へ向かった。
『…腹でも壊した？あたし漕ごうか？』
「は？大丈夫だわ。」
楓士雄は硬い表情のまま、自転車に跨って首を後ろに向けた。
『あっそ。』
なんなん？
長くね？
てかムカついてることあれば言えばいいのに。
だんだんと腹が立ってきて、
私は自転車に乗らずにその場に立ち止まった。
『歩いて帰る。』
「は？なんでだよ？」
楓士雄はいいから乗れよと首を振った。
『いい。』
そう言って、私は回れ右して、楓士雄の横を通り過ぎた。
「お前な…」
楓士雄がぐいっと自転車を動かして私の横に着く。
「おい、まてって。」
『別に一人で帰れるし。』
そのまま無視して足を早めると、
楓士雄は自転車に乗ったまま、私の前ギリギリに止めて通せんぼした。
「いい加減にしろ。」
強引に道を遮られ、私はイラッとして無言になる。
「どうした？」
どうした？
なんで私が聞かれる立場？
私は呆れて、大袈裟にため息をついた。
『こっちのセリフなんだけど。何？さっきから。機嫌悪いよね？』
「っは？俺は別に…」
『村山と何話したの？』
私が村山の名前を出すと、楓士雄の表情が一瞬凍ったように見えた。
「っ、別になんでもねーよ。」
そう言った楓士雄の顔は、
到底そうは思えない表情を浮かべている。
『なんかあたし気に触ることした？』
「それは…」
楓士雄が口をつぐむ。
『あたし、村山のことは信用してるから。』
何かと今まで兄のように指図されてきたけど、
これだけは楓士雄に決められたくない。
私が振り絞って言った一言で、
楓士雄はプツンと糸が切れたように、抑えていた感情を顔に出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななし(プロフ) - maschera0411さん» みなさまコメントありがとうございます！続編、書きはじめちゃいました！よろしくお願いしますっ！ (2020年1月13日 16時) (
レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
maschera0411(プロフ) - 楽しく拝見させていただいてます。続編……楽しみにしてますね (2019年12月5日 14時) (レス) id: 0853a8ef5d (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - つばきさん» 素敵なコメントありがとうございます！とても嬉しいです。私も最後まで読んでいただけて幸せです。今は中編はじめたので、そちらもよければお願いします。 (2019年12月1日 14時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - shiorimaiwwさん» コメントありがとうございます。私もなんか寂しい気持ちです。また、続編書けたら頑張りますね！ (2019年12月1日 14時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 詩暢さん» 最高だなんて…ありがとうございます！嬉しいです！！また作品をお見せできるよう頑張りますね！ (2019年12月1日 14時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななし
| 作成日時：2019年11月7日 1時
