74 ページ25
ーーーAーーー
「A！！！」
いつもの軟派なハルさんはそこにはいなかった。
私を見るなり、真剣な表情でぎゅっと抱きしめる。
『…痛、、強いよハルさん。大丈夫だから…』
「バカ言うな。本当に何もされてないな？」
『うん。大丈夫。』
私は大丈夫。
そう言い聞かせるように表情を強く保った。
ハルさんに連れられ、自分のアパートに戻る。
誰もいない部屋。
もう大丈夫なはずなのに、一人って思うとすごく心細い。
ドアを開けて、ガランとした部屋を呆然と見ていた。
ああ、
私ひとりぼっちだ。
今日みたいなことがあっても、
強く…生きていかなきゃ…
ハルさんは黙って唇を噛む私を見て、ゆっくりと頭を撫でた。
「Aは一人じゃない。俺がずっと居てやる。」
その一言で、この数時間の緊張の糸が切れ、
私は自分でも止められないくらい、思いっきり泣いた。
シャワーを浴びて、髪を乾かしていると、
ハルさんは着替えを取りに、一回家を出て行った。
何気なくスマホを取り出すと、
尊人からラインが入っていた。
そこには、竜は大きな怪我はなく無事だったこと、
以前私が通報していた事もあり、お咎めなく解放されたことが書いてあった。
よかった…
本当に。
私はすぐに返信し、ほっとして布団に入った。
ハルさんは、帰ってきてベッドの横にすわる。
「今日はここにいるから。」
髪を撫でられる感覚がすごく安心する。
私はゆっくりと眠りに落ちた。
ーーー
次の日、起きたらハルさんは座ったままベッドに頭を置いて眠っていた。
「ん… おはよ。」
目をこすりながら、微笑むハルさん。
ずっといてくれたんだ。
忙しいのに、私のためにいつも身を削ってくれる。
『すみません…ハルさんそのまま寝ちゃったんですね…』
「んー。大丈夫。今日休み取ったし。」
『もう大丈夫ですから、ハルさんもゆっくり横になってください。』
すると、ハルさんは私のベッドにそのまま上がってきた。
ごろんと隣に横たわるハルさん。
『ちょっ！そうじゃなくて自分の家で…』
「Aちゃんの匂いがする。安心するなぁ…」
ハルさんはそのまま数秒で眠りについた。
仕方ないな。
今日はそのままにしてあげよ。
私はベッドからそっと降りて、コーヒーを入れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 464人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛菜(プロフ) - こんにちは、はじめまして。お話読ませて頂きました!!竜とは無事結ばれたと思っていいのでしょうか？やきもきしながら楽しく読ませて頂きました。ご苦労様でした!! (2021年8月19日 16時) (
レス) id: ec8eca325c (このIDを非表示/違反報告)
angel(プロフ) - 付き合った後の2人が見たいです(≧∇≦)続篇お願いします！ (2019年12月20日 16時) (レス) id: 452da7dd64 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 美空さん» 一応、これでシリーズは完結になります。その先の続きは短編で書きたいなぁとは思っています！最後まで読んでいただき、ありがとうございました(*^^*) (2019年8月29日 17時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
美空(プロフ) - これで完結でしょうか？そうだとしたらお疲れ様でした！ストーリー展開にすごく引き込まれました！またプリロワで新作を作って欲しいです！本当にできたらで構いません。とても楽しませてもらいました！これからも頑張ってください！ (2019年8月29日 17時) (レス) id: c52258fc3c (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - ちーさん» わ！本当でしたね！気がつきませんでした(;o;)笑 ご指摘ありがとうございます！直しました(^^)完結に向けて頑張ります^_^ (2019年8月15日 1時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななし
| 作成日時：2019年7月25日 1時
