Don’t bother me.2 (prince of legend)

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ーーーAーーー





男は無理に近づいてはこなかった。


適度な距離をとり、私は周囲を見渡す。


すぐそこには人が沢山いるから、まだ安全だ。





「そんな、警戒しないでくれよ。俺、そんな怖いやつじゃねぇからさぁ。」






どの口が言うんだ。


100人が100人、悪だってわかる。





『そうは見えません。』




「この間は悪かったよ。怖がらせる気は無かったんだけどな。俺の話きいてくれる？」





『あなた、誰なんですか？』




「俺？如月源だよ。京極竜のお友達。ちょっと竜が今ヤバイ事になってんのよね。」






え…



竜が？


ヤバイことって…





私の表情をみて、如月って男の口角が上がる。





「やっぱ知ってんじゃん。」





『私には…』







私には関係ない。


そう口に出そうとしたけど、言えなかった。


もし本当に竜の身に何かあるとしたら…


絶対後悔する。



沈黙する私をみて、如月は話し出した。



「とりあえずさ、ちょっと来てくれる？あいつ今俺らの車に乗ってるから。」





車？


私は警戒して、後ずさりした。





「うそじゃねーって。入んなくてもいいから見てみろよ？」





そう言って、如月は友達を引き連れて黒いバンの方へ向かう。



囲いがなくなり、奴らから5.6メートル距離が開いた。



逃げるなら今がチャンス。



普通ならこのまま無視して逃げる。


でも、本当に竜がいたら…




私は恐る恐るその車を覗きに行った。






本当に馬鹿なことをしたと思う。


なんで人を呼ばなかったんだろう。

なんで逃げなかったんだろう。


頭では怪しすぎるってわかってたのに。




車の後部座席を覗いた瞬間、後ろからハンカチで口を塞がれ、私は意識を失った。






ーーーー





さわさわと、頬がさすられている感覚がして、
目が覚めていく。




「あ、起きた？」



私が目覚めた場所は、廃墟の工場だった。

いかにもって感じで、蛍光灯がチカチカとしている。



「ちゃんと、シート敷いてあるからさ。優しいだろ？」



横たわった身体を起き上がらせ、周囲を見渡した。



出口は奥に１つ。右側一面はすりガラスの窓で所々割れているけど、人は入れそうもない。




「あ、死にたくなきゃ、逃げようとすんなよ。」




最高にやばい。


如月とその取り巻き2人以外誰も居なかった。




本当に情けないし、めちゃくちゃ怖い。


どうしよ…




「あー、竜はね、今から呼ぶから。」

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