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――竜―――
「京極尊人っす。いろいろあってダブっちまってるけど、まぁ、よろしく。んで、こいつは弟の竜。」
「ちーっす。」
俺は教卓の前に立って、自己紹介しながら教室を見渡していた。
Aいねーな。
同い年じゃなねーのかな…
結城「…なら、一番後ろに席を作ろう。天堂くん、Aさん、前につめて!」
ん?
A?
俺は先生の視線の先を見た。
んなわけねーよな…
目線の先には、ビクッと体を動かし、下を向いている暗そうな女がいた。
まさか、、な。
俺は机と椅子をもって、兄貴と後ろに移動した。
一人…二人…と、通り過ぎ、その子に近づいていく。
そいつは俺が進むと同時に、隠れるように頬杖をつき、窓の外に顔を向けた。
俺は通り過ぎる前に、そいつを覗き込む。
あ。
まじか…。
メガネをかけ、前髪と手のひらで半分顔を隠しているが、
明らかに見たことのある顔。
なんだこの変装は。
そして全身から、話しかけるなオーラが漂っている。
なんだこいつ。
やっぱ、おもしれー。
俺はそのまま通り過ぎ、おそらくAであろう子の後ろに机を置いた。
尊人「ラッキーラッキー。後ろ最高!…おっ、わりーな。」
兄貴は赤髪の男の後ろに机をおき、声をかけた。
「よろしく!尊人って呼んでくれな。お前は?」
「て、、天堂光輝です。」
「おー光輝!よろしくな!こいつは竜!」
兄貴から腕を掴まれ、無理やり斜め前の赤髪に向き合わされる。
「…うっす。」
「よ、よろしく。」
光輝っていうやつは、挨拶をしながらも、しきりに左隣のAを気にしていた。
「あ、そーいえば竜、お前エコノミーに友達がいるんだよな?なんつったかなー?威勢のいい女の…」
兄貴のボリュームのデカさで、一瞬で教室の奴らの視線が集まる。
それと同時に、前にいるAは更に顔を下に向けた。
ふーん。
そーゆーことね。
俺は前で縮こまっているAの肩をトントンと叩いた。
「あのさ、Aさんだっけ?」
彼女はビクッとなり、ゆっくりとこっちに振り返る。
Aは、サスペンスドラマで死体を発見したかのような、青ざめた顔をしていた。
やべ。口元がゆるんじまう。
「あんさ、俺らにがっこー案内してくんね?」
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ななし(プロフ) - ゆなさん» 嬉しいです!ありがとうございます!最後まで読んでいただけたら嬉しいです! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 初めまして、とても素敵な小説ですね。読むのが楽しみです (2019年11月5日 19時) (レス) id: 3d72f20392 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 秋和☆°・.。さん» ありがとうございます!!頑張って完結させますね(*^^*) (2019年8月2日 1時) (レス) id: f172c4d98f (このIDを非表示/違反報告)
秋和☆°・.。(プロフ) - 続編の公開待ってます! (2019年7月21日 2時) (レス) id: fd8f2345ac (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 雫さん» ご指摘ありがとうございます!直しますっ! (2019年7月6日 19時) (レス) id: f172c4d98f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななし | 作成日時:2019年6月27日 4時