13 ページ14
―――A―――
授業のチャイムが鳴り、
急いで教科書とノートをしまう。
…さっきのはなんだったんだろ。
天堂くんに一瞬声をかけられた気がしたが、
ネクストの二人が天堂くんに飛びついて絡み始めたから、私はそのまま教室を後にした。
平和に過ごしたいと思ってたけど、
実行委員になったからには、
今後他のイケメン達とも接する機会がうんと増える。
あーもう。
なんで私は貧乏なんだ。
私は生まれて初めて貧乏なことに心底落胆した。
〜〜
バイト先に着くと、店長がすぐ声をかけてきた。
「Aちゃん。寂しくなるよ。」
『な、なんですか。』
「これからは週に2回か…」
『すみません。まんまと理事長に買収されました。』
店長は、気にすんなと言って、力なく笑う私の肩をぽんぽんとたたいた。
「あ、いつもの出前よろしくね。」
あー、ハルさんね。
私は更に力のない返事をした。
『はーい。』
美容室に入ると、ハルさんが速攻で肩を抱いてきた。
なんだかいつにも増してニコニコしている。
『なんですか!ちょっと!』
「Aちゃーーん。実行委員なんだってー?」
『ハルさっ… ! なんでそれを…』
ハルさんはニヤリと笑った。
「おーれーも。出るんだよね。選手権。」
『えーー!?なんでですかっ!!!』
ハルさんは卒業生代表で、出場が決まっているとの事だった。
学園でも有名人だし、想像はつくけど。
でも、これは厄介…。
『どーしましょう…。』
ハルさんはとんっと私の両肩に手をかけ、上から私を見下ろした。
「俺以外の前では地味子ちゃんでいろよ。」
まーた、キラースマイル。
とんっとおでこを指で突かれる。
全くもう。
『はいはい。言われなくても。』
私は軽くあしらって、お金を回収した。
「そろそろ家政婦よろしくねー。」
ハルさんのウインクを愛想笑いでかわし、
了解ですと答えて店を出た。
〜〜
バイトをあがり、自転車を漕ぐ。
壊れる前よりペダルが軽い。
油がさされ、メンテナンスされていた。
結構いいやつじゃん。
あれから半月は過ぎてるけど、
あいつはカフェには来ていない。
もう会うことはなさそうだな。
京極竜…
そういえば、理事長がなんか言ってたな…
なんだったっけ…
ま、いーか。
その日は帰ってぐっすりと眠った。
621人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななし(プロフ) - ゆなさん» 嬉しいです!ありがとうございます!最後まで読んでいただけたら嬉しいです! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 初めまして、とても素敵な小説ですね。読むのが楽しみです (2019年11月5日 19時) (レス) id: 3d72f20392 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 秋和☆°・.。さん» ありがとうございます!!頑張って完結させますね(*^^*) (2019年8月2日 1時) (レス) id: f172c4d98f (このIDを非表示/違反報告)
秋和☆°・.。(プロフ) - 続編の公開待ってます! (2019年7月21日 2時) (レス) id: fd8f2345ac (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 雫さん» ご指摘ありがとうございます!直しますっ! (2019年7月6日 19時) (レス) id: f172c4d98f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ななし | 作成日時:2019年6月27日 4時