検索窓
今日:23 hit、昨日:5 hit、合計:202,906 hit

48 ページ48

ーーーAーーー






「ねー、Aちゃん?」



『なんですか?』



信虎さんが自転車を漕ぎながら、前を向いて言った。




「あいつ、Aちゃんの事好きだろ?」




『えっ?なっ…』




急に竜の事を聞かれ、動揺する。






「ずるいなー。毎日Aちゃんと会えるんだもん。」




信虎さんのトーンが下がる。



「俺さ、ホストだし、会う子はみんな俺をもてはやすんだ。でもさ、Aちゃんだけは違うんだよな。」



いつもの調子と違って、真面目に話し始める。




「明日で最後なんて、俺、すっげー寂しいわ…」





『信虎さん…』




明日で最後。



私だって寂しい。



店長には会いたいけど、でも、ここでの経験は


今までの何よりも超えられない。




『私も、寂しいです…』




「え?まじ?」




信虎さんのチャラモードのスイッチが入り、慌てて首を振る。




『いや、そーじゃなくて、皆さんと働けないのがって事。全日土木の人達はみんな暖かくて家族みたいだから…』




「あー、そっちね。」




わかるよ、と頷く信虎さん。





「でもさ、明日で仕事は終わりでも、繋がりは消えないんじゃない?」




『え…』




そう言われて、心がふわっとあったかくなる。


信虎さんの言う通りだ。


仕事が終わったとしても、そんなの関係ない。


この出会いを大切にすればいいんだ…



信虎さんいいこと言うじゃんって思ってると、


やっぱりか、という返答が返ってくる。




「俺だって、もうAちゃんの虜だし。ずっと追いかけちゃうかんねー!」




『それはやめてください笑』






ーーー




家に帰り、少し残念に感じながら



とりあえず明日は自転車借りたから大丈夫って連絡した。


りょーかい。って、返答。


それだけ?


ま、竜らしいっちゃらしいな…




そして、明日がバイト最後の日。




感謝を意を込めてチョコチップクッキーを焼き、


一枚だけ用意してたハンカチを取り出す。




安物だけど、私はそこに丁寧に刺繍を入れた。






全日土木、なくならないといいな…



そんな思いも込めて。






ーーー




シンタロウさんの自転車に、クッキーを入れて登校する。





光輝「おはよ!」



『おはよ。』




尊人「お、A!ん?それなんだ?」




尊人に見つかったらクッキーなんて秒でなくなる。


私はなんでもない!とそれをロッカーに隠した。

49→←47



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (102 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
553人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆな - 本当に更新は大変な事ですが、応援してます。 (2020年3月29日 7時) (レス) id: 3d72f20392 (このIDを非表示/違反報告)
ざべす - 貴族誕生までみれるなんて!ありがとうございます(*´ω`*)続きが楽しみです! (2020年3月26日 0時) (レス) id: 7824baafe5 (このIDを非表示/違反報告)
ざべす - 貴族誕生までみれるなんて!ありがとうございます(*´ω`*)続きが楽しみです! (2020年3月26日 0時) (レス) id: 7824baafe5 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - Rabbitさん» ありがとうございます!頑張ります(^^) (2020年3月23日 1時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbit - 更新頑張ってください!!! (2020年3月22日 10時) (レス) id: 9f418f690e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ななし | 作成日時:2020年2月27日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。