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ーーーAーーー
「ねー、Aちゃん?」
『なんですか?』
信虎さんが自転車を漕ぎながら、前を向いて言った。
「あいつ、Aちゃんの事好きだろ?」
『えっ?なっ…』
急に竜の事を聞かれ、動揺する。
「ずるいなー。毎日Aちゃんと会えるんだもん。」
信虎さんのトーンが下がる。
「俺さ、ホストだし、会う子はみんな俺をもてはやすんだ。でもさ、Aちゃんだけは違うんだよな。」
いつもの調子と違って、真面目に話し始める。
「明日で最後なんて、俺、すっげー寂しいわ…」
『信虎さん…』
明日で最後。
私だって寂しい。
店長には会いたいけど、でも、ここでの経験は
今までの何よりも超えられない。
『私も、寂しいです…』
「え?まじ?」
信虎さんのチャラモードのスイッチが入り、慌てて首を振る。
『いや、そーじゃなくて、皆さんと働けないのがって事。全日土木の人達はみんな暖かくて家族みたいだから…』
「あー、そっちね。」
わかるよ、と頷く信虎さん。
「でもさ、明日で仕事は終わりでも、繋がりは消えないんじゃない?」
『え…』
そう言われて、心がふわっとあったかくなる。
信虎さんの言う通りだ。
仕事が終わったとしても、そんなの関係ない。
この出会いを大切にすればいいんだ…
信虎さんいいこと言うじゃんって思ってると、
やっぱりか、という返答が返ってくる。
「俺だって、もうAちゃんの虜だし。ずっと追いかけちゃうかんねー!」
『それはやめてください笑』
ーーー
家に帰り、少し残念に感じながら
とりあえず明日は自転車借りたから大丈夫って連絡した。
りょーかい。って、返答。
それだけ?
ま、竜らしいっちゃらしいな…
そして、明日がバイト最後の日。
感謝を意を込めてチョコチップクッキーを焼き、
一枚だけ用意してたハンカチを取り出す。
安物だけど、私はそこに丁寧に刺繍を入れた。
全日土木、なくならないといいな…
そんな思いも込めて。
ーーー
シンタロウさんの自転車に、クッキーを入れて登校する。
光輝「おはよ!」
『おはよ。』
尊人「お、A!ん?それなんだ?」
尊人に見つかったらクッキーなんて秒でなくなる。
私はなんでもない!とそれをロッカーに隠した。
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ゆな - 本当に更新は大変な事ですが、応援してます。 (2020年3月29日 7時) (レス) id: 3d72f20392 (このIDを非表示/違反報告)
ざべす - 貴族誕生までみれるなんて!ありがとうございます(*´ω`*)続きが楽しみです! (2020年3月26日 0時) (レス) id: 7824baafe5 (このIDを非表示/違反報告)
ざべす - 貴族誕生までみれるなんて!ありがとうございます(*´ω`*)続きが楽しみです! (2020年3月26日 0時) (レス) id: 7824baafe5 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - Rabbitさん» ありがとうございます!頑張ります(^^) (2020年3月23日 1時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbit - 更新頑張ってください!!! (2020年3月22日 10時) (レス) id: 9f418f690e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななし | 作成日時:2020年2月27日 2時