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ーーーAーーー




最後に立っていたのは、轟だった。






ズサっと地面に吹っ飛ばされる楓士雄。




私はもう、楓士雄の肩を抱いていた。


「くそ…」


それでも立とうとする楓士雄。



司「もうやめろ。」




『楓士雄。』





もう立ち上がれないのは、一目瞭然だった。




「畜生…やっぱ強ぇな…」





楓士雄が前にいる轟に目線を向ける。






辻「勝負あったな。」




芝「おつかれ。」





辻芝に肩を叩かれ、眼鏡をかけ直す轟。


そして、ゆっくりと、こっちに顔を向け、

楓士雄を上から見下ろした。





「どろっきー…へへっ …服乱れてんぞ?」




楓士雄は顔をしかめながら、かすれる声で轟を見上げた。




すっとシャツを直す轟。




楓士雄はニヤリと笑った。


轟はそれをみて、かすかに口角を上げた。




それから轟は、


周囲の皆んなにチラッと目を向けてから、




楓士雄に視線を戻し、ぼそっと呟いた。






轟「…何負けてんだよ。」






そう言ってから、辻芝の方へ戻っていく。



轟…


いまの…







『あいつ…』



司「ああ。」





「…っち。なんだよ…」



楓士雄はそう言って、私と司に肩を担がれ、立ち上がった。




ジャム男「がっごいいっず…ぶじおざん…」




ジャム男は鼻をすすり、相変わらず泣いている。





司「もう負けらんねぇな?楓士雄。」




司がそう言って、楓士雄がうなずいた。




うん。



周りを見ればわかる。



みんな楓士雄が好きなんだ。









心配そうに顔を曇らせる清史に、私は声をかけた。




『楓士雄に勝って欲しかったんでしょ?』




声をかけられて、物凄く驚く清史。


あたしが清史に微笑みかける日が来るとは。



あわあわと口をあけている。






清史「はっ…い、いや…俺はだな…別にそんなんじゃね…」





泰志「ったくよ。あーあ。かーえろ。」



 





結局、全日の頭争いは、轟が制した。




でも、実際ここをまとめられるのは楓士雄。


轟もそうわかってるから、


楓士雄に頭になって欲しいんだろう。




楓士雄を保健室で手当てをし、寝かせてから屋上へ上がる。





みんなは解散して、私と司だけ屋上に残っていた。


夕陽が沈んでいくのが見える。







『あたし、轟が頭でもいいかも。』



司「は?なんでだよ。」




『だって、あいつ嫌いじゃない。』




司は私の返事にふっと笑い、…そうかもな。と呟いた。

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ななし(プロフ) - ありがとうございます。構想を練りながらなので、更新遅いですが、51話から公開しました。 (2020年2月20日 2時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーねんず(プロフ) - 凄くおもしろいです!!続きが気になります、、パスワード教えてほしいです! (2020年2月20日 0時) (レス) id: 695e2d496c (このIDを非表示/違反報告)
ネコ.K - 続き気になります!((o(´∀`)o))ワクワク パスワード教えてください!! (2020年2月18日 7時) (レス) id: bf25cdc74b (このIDを非表示/違反報告)
ひろちゃん(プロフ) - このお話大好きです!続きが読みたいのでパスワード教えてください☆ (2020年2月16日 15時) (レス) id: ed54dab455 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 皆さま、コメントありがとうございます(ToT)こんなに更新が遅いのに、作品を読んでくださってとても嬉しいです。なんとか、完結を迎えるよう頑張ります! (2020年2月15日 2時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななし | 作成日時:2020年1月9日 0時

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