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ーーーAーーー



タオルで汗を拭きながら、ジャム男と公園のベンチに座る。


私のバイト終わりの2時間、週に3回。

夏休みも後半になり、

ジャム男の特訓も順調に進んでいた。






『合気道の基本、結構マスターしたんじゃない?』


私がそう言うと、ジャム男は照れながら、
ぐっと拳しめて、一礼する。


実際、かなり動きが良くなっている。




ジャム男「うっす!ありがとうございます!!」




『じゃ、次は来週かな。』




ジャム男「あ!金土日は外してもらえますか?いいバイト見つけたんすよ!」



『あ、そうなの?よかったじゃん。』



ジャム男「そーなんすよ!時給も高くて。夢のバイク!楽しみだなぁー。」




生き生きとしてるジャム男をみて、私も頬が緩む。


ジャム男は楽しそうにバイト先の事を話し始めた。


会員制のバーで、雑用の仕事。


たまたま道で知り合った人に声をかけられたらしい。




『なにそれ。怪しくない?』

私が疑うように目を細めると、両手を振ってジャム男は笑った。



ジャム男「いやいや、最初は俺も疑いましたけど、全然良い人達で。鬼邪高卒って言ってたし。」



『ふーん。そっか。』




ま、それなら大丈夫か。


今度顔でも出しに行こうかな…


時間も遅いから、ジャム男をバイクの後ろに乗せ、家まで送る。


ジャム男の家から楓士雄の家まではバイクで5分もかからない。






家まで送った後、私は少し遠回りして帰っていた。




ここに来るのはかなり久しぶり。


…今日だけ。



うん。今日だけにする。






さっき、ナオミさんからラインが入ってた。

村山、そっちに帰ったよ。って。









懐かしい角を曲がる。



古いアパートが見えてきた。



もし居たら、会いに行く。


連絡くらいくれたらいいのにって、怒鳴ってやる。



でも今…居なかったら…




もう忘れよう。







自分でそう願掛けをし、アパートの前でバイクを止めた。


期待と緊張で胸が苦しくなる。



門を潜り、


1階の角部屋に目線を向けると、




その苦しさはすぐになくなった。






部屋の明かりは、消えていた。




ゆっくりと、角の部屋の前に立つ。





これで終わり。




胸が苦しくなったり、虚しくなったり、



もう終わりにしよう。







私はポケットから取り出したものを、




そっとドアノブに掛けた。

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ななし(プロフ) - ありがとうございます。構想を練りながらなので、更新遅いですが、51話から公開しました。 (2020年2月20日 2時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーねんず(プロフ) - 凄くおもしろいです!!続きが気になります、、パスワード教えてほしいです! (2020年2月20日 0時) (レス) id: 695e2d496c (このIDを非表示/違反報告)
ネコ.K - 続き気になります!((o(´∀`)o))ワクワク パスワード教えてください!! (2020年2月18日 7時) (レス) id: bf25cdc74b (このIDを非表示/違反報告)
ひろちゃん(プロフ) - このお話大好きです!続きが読みたいのでパスワード教えてください☆ (2020年2月16日 15時) (レス) id: ed54dab455 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 皆さま、コメントありがとうございます(ToT)こんなに更新が遅いのに、作品を読んでくださってとても嬉しいです。なんとか、完結を迎えるよう頑張ります! (2020年2月15日 2時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななし | 作成日時:2020年1月9日 0時

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