LOVEニスタ ( 2 )

無償の愛とは ページ5

「タプちゃん、いろいろありがと。」

T「これくらいお安い御用。」



仕事が忙しくてなかなか不動産屋に行けないあたしの代わりに。
タプちゃんに頼んでいい物件を適当に見繕ってもらった。

ジヨンの家のようにそんなに広くなくていいから。
会社に近い場所でセキュリティがしっかりしているところ。

タプちゃんが「何かできることないか？」って聞いてきてくれたからお言葉に甘えてしまった。



T「本当に家に帰らないの？」

「…うん…とりあえず今は。」

T「部屋借りることジヨンは知らないよな？」

「もちろん！知らないよ。だからタプちゃんもジヨンには言わないで。お願い。」

T「…わかったよ。」



タバコに火をつけながら苦そうな顔をするタプちゃんは、どこか腑に落ちない顔をしている。

あたしもタバコに火をつけて。一息吐いた。



T「なぁ、何か他に俺にできることないか？Aから何かを言いにくいなら、俺が間に入ってもいいし。」

「ううん。気持ちだけで充分だよタプちゃんありがと。」



強い度数のお酒が入ったグラスを傾けるタプちゃん。
あたしとジヨンの事をいつもちゃんと考えてくれるよね。
ありがとう。本当に感謝してる。



T「俺さ…、今の彼女と付き合えたのって、ジヨンのおかげでもあるんだ。」

「え？ジヨンの？」

T「悩んでる時に、ジヨンに”自分が苦しむ恋は卒業したら？”って言われてさ。それでそうだよな。って何か納得した部分もあるんだ。」



タプちゃんが何を言おうとしているのかよくわからないけど。

いつもと違う感じで真剣に話しているんだなってのは、もう雰囲気でわかる。



T「他人を苦しませるか、自分が苦しむか。
どちらかなしに恋愛っていうものは成立しないって思ってたけど。
ジヨンとA見てたらさ、なんかそれも違うんじゃないかな。って思った。」

「それってどういうこと？」

T「んー…うまく言えないけどさ、なんかおまえらはそういうのなしに、ただ純粋に無償の愛ってやつをお互いに与えてんのかな。って。」

「タプちゃん…」

T「無償の愛なんて、親から子にしか注がれないと思っていたこの俺が、なんか固定観念を覆されちゃった感じ。」

「タプちゃんの話は奥が深くて難しくてよくわかんない。笑」

T「今はわからなくてもそのうちわかるようになるって。笑」



そのうち…か。

回りくどくて深い話→←現実世界 -GD

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す