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「……分かった。夜の、夜勤の仕事はやめる。でも、そしたらさすがにスーパーのレジの仕事だけじゃ生活できないし、雄登の学費のこともあるから、他の仕事も探してみる。まあ、全体のお給料は下がるだろうけど…。」
「うん、そうして欲しい。俺も、給料は全部家に入れるよ。」
「え、そんなのいいよ、それは雄登が頑張ってもらったお金でしょ?」
「そうしたいんだよ!さっきは養うなんて啖呵切ったけどさ、さすがにまだ不安定だし。でも!いつかは俺が姉ちゃんのこと、養うから!」
辞めるって言いに行くの、俺もついていこうか?なんて言う弟をやんわり断りながら、なんて言って辞めようかなと思案していると、久々に二人で囲んだテーブルの向かいに、今まで見たことのないくらいに満足気な、キラキラとした笑顔でこちらを見ている弟(16)に、嗚呼ジャニーズ…と眩しすぎて家でサングラス掛けたくなりそうだった。
こんなに話をしたのは久々であったし、雄登の思いも聴けた。二人で暮らし始めて、もうじき1年が経つ。独り善がりだと思っていたけれど、雄登も少なからずこちらを思ってくれていたことが分かって、温かい何かが広がった。大切な弟のためなら自分の体なんて惜しくないと思っていたけれど、弟は私が思う以上に私のことを思っていてくれたのだ、という事実に頬が緩むのを感じる。
弟のために、明日から、転職活動を始めます。
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作者名:渚 | 作成日時:2019年11月5日 0時