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大学を卒業した。
結婚式を控えたある日、紫耀にドライブに誘われた。
｢Aちゃん！デートしよう！！！｣
紫耀は、生まれて初めてを沢山くれた。
あの日も、そうだった。
｢いや〜、この時期の海は流石にまだ寒いなあ。Aちゃん、大丈夫？寒ない？｣
｢はい、大丈夫です。｣
｢もう、敬語要らんって！｣
｢すみません、癖で……。｣
｢……。｣
いきなり黙り込んだ紫耀に、もしかして怒らせてしまったのかと焦っていたら、突然紫耀が、砂浜に跪いた。
｢Aちゃん。｣
｢は、はい。｣
｢俺、社長に言われたからだけじゃなくって、本当にAちゃんのことが好きや。結婚するの決まってるのにこんなこと、変だって思われるかもしれんけど、ちゃんと言葉で伝えたかったから。
俺と、結婚して下さい。｣
ほろりと流れた涙に、自分でも驚いたけれど、紫耀はもっと驚いてた。
｢え、待って、そんなに嫌やった？！ごめん、俺、｣
｢ち、違うの！違うんです。人に、好きって言われたこと無かったから……。｣
涙を優しく拭ってくれる温かい手に、私を見つめる優しい瞳に、縋りたくなった。
｢……紫耀さん、｣
｢ん？｣
｢私の事、愛して、くれますか？｣
優しくて温かい腕に包まれる。
｢当たり前やろ、｣
｢君を永遠に愛してあげるよ｣
その言葉を聞いた瞬間から、私は紫耀に、とらわれている。
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作者名：渚 | 作成日時：2019年11月7日 3時
