背伸びしてても撫でてほしい ページ12
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「Aちゃん髪の毛やってください。」
「あっちゃん！」
この時の私、ドラマのヒロインばりに目キラキラしてたと思う。
新年一発目のライブ。
なんと！ボイビの子たちが！Dial up歌うんよ！
泣き虫やったあっちゃんが…て思ったらね。
大人しく正座したあっちゃんの前で、胸熱になりながらヘアセットの準備をする。
セットといっても、ももちゃん(あ、私のヘアアイロンのことな)で前髪に癖付けて、軽くワックス揉み込むくらいなんやけど。
こんなふうに、髪をいじったりいじられたりするのも、関ジュの好きなところ。
「あっちゃん髪の毛柔らかいな〜ええな〜。」
「ありがとうございます。」
「染めたいな〜て思う？」
「んー、まっきんきんにしてみたい！」
「ふはっ！まっきんきん！見てみたい！」
真っ金金といえば…視界の端を誠也くんが通り過ぎた。
あっかるい金髪にしてた時の誠也くんめちゃくちゃ綺麗やったなぁ。あの薄い色で素の顔とマッチする人おるんや、てびっくりしたもん。
「誠也くんー。」
「何ー？」
「髪の毛やってー。」
「自分でできるやん！」
「今日はやってほしい気分やねん。お願いしゃっす！」
両手を合わせて駄々をこねてたら、あっちゃんも一緒にお願いポーズしてくれた。
ふわーかわいい。
あっちゃんパワーも手伝ってか、しゃあないなあと諦めて私の後ろに腰を下ろした誠也くん。
甘い匂いが強くなった。
これがコットンキャンディの香りなんかな。
「どうしたいん？」
「全体的にうねうねに巻いてください。」
「めっちゃめんどいやつやん！」
「ごめんなーあっちゃん。後ろの怖いお兄ちゃんは気にせんとしゃべろなー。」
「はい！」
「おま、頼んどいて何やねん！篤志も『はい！』ちゃうぞ！」
「「あははは！」」
誠也くんはぶつくさ言いながらも、手際よく私の髪にアイロンを当ててくれる。
私もあっちゃんの前髪をいじって、ワックスで整えていく。
ファンの皆にいっぱいキャーて言ってもらえるように。かっこよくなったね、て驚いてもらえるように。
柄じゃないけど、なんかこういうの、愛おしいなぁ、て思う。
「ライブがんばろなー。」
「はい！」
「おー。」
次の日、三人で並んだ写真をまっさんが撮ってくれてたから、"毛づくろいする猿の親子"て題名つけてAぇ!!!!!!!にアップしたら、誠也くんに怒られた。
お猿さんかわいいのに！！
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作者名：三十谷みそ | 作成日時：2021年12月21日 21時
